中公新書<br> 高地文明―「もう一つの四大文明」の発見

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中公新書
高地文明―「もう一つの四大文明」の発見

  • 著者名:山本紀夫【著】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 中央公論新社(2022/01発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026477

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内容説明

「四大文明」は、ナイルや黄河などの大河のほとりで生まれたとされる。しかし、これら以外にも、独自の文明が開花し、現代の私たちに大きな影響を与えた地がある。それが熱帯高地だ。本書はアンデス、メキシコ、チベット、エチオピアの熱帯高地に生まれ、発展してきた四つの古代文明を紹介。驚くほど精巧な建築物から、環境に根ざした独特な栽培技術や家畜飼育の方法、特色ある宗教まで、知られざる文明の全貌を解き明かす。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

96
大河のほとりで穀物生産による四大文明が生まれたとは世界史で最初に学ぶ常識だが、それは日本だけで教えられる教育者の思いつきでしかないとは。標高2千㍍超のメキシコ、アンデス、チベット、エチオピアの熱帯高地で古代文明が成立していたとする説は初めて聞くが、イモや家畜飼育などを基盤とする人口集積により建築や宗教が発展したとの考えは新しく説得力がある。人はどんな土地にも適応し、より住みやすくするため努力を重ねることを学者は故意に無視しているのか。現在の視点から過去を判断する過ちを、歴史の定説ではまだ続けていたようだ。2021/08/05

活字の旅遊人

50
『トウガラシの世界史』の山本紀夫先生。メキシコやアンデスの高地にある文明を解説する。第2章「高地文明」の発見にむけて、を読んでいたら、無性に旅に出たくなった。大河に沿う四大文明という「常識」に待ったをかける姿勢は、学問的にも素晴らしい。後半で力説されるイモ類では文明は生まれない、という思い込みを正すところも同じ流れだろう。農学から民族学に進んだ著者ならではというところか。チベットとエチオピアはやや物足りないが、研究期間から、まあ仕方がないか。作物としてのトウモロコシとジャガイモにも興味をもたされた。2021/09/24

翔亀

36
【始原へ51】今西錦司、梅棹忠夫、本多勝一などを生んだ京大探検部の系譜に連なる著者の面目躍如たる本。栽培植物学でアンデス調査を開始し民族学に転じ、長らくアンデス高地のインディオと暮らしネパール・ヒマラヤやチベットもフィールドとしてきた著者の集大成だ。さすが京大探検部だなあと思うのは、探検=体験を重視することによって常識を覆す大胆な発想を提示しているからだ。いずれもムギの栽培植物化と大河の灌漑農業から生まれたメソポタミアなどの「四大文明」に、標高3000mを超える高地のジャガイモ栽培農業により生まれた↓2021/09/12

Porco

19
文明を、それを支えた食料という視点から見ると、エジプト文明もインダス文明も黄河文明も、メソポタミア文明の周辺文明と言える。いずれもメソポタミアで栽培化されたコムギ(とオオムギ)によって成立したからだ。なるほど、と思いました。本書では、コムギ以外の食料によって成立した文明が、熱帯高地〜亜熱帯高地にあることを指摘しています。とりわけ、アンデス文明は穀物ではなくイモ、ジャガイモによって成立したことを力説しています。文明の成立条件は、大河があることではなく、多くの人口を支えられる食料生産ができることである。2024/01/13

mahiro

19
文明は大河の辺に発生するという四大文明論に対し、低緯度の高地に発生した文明を論ずる。アンデス、チベット、エチオピア等だがアンデス文明に特に力が入っているようだ。アンデス文明の主要な作物はトウモロコシという定説に対し数千メートルの高地でも栽培できるジャガイモこそが主食であったと言う。高度によって幾つかの地帯に分けられる中央アンデスの図とそこでとれる作物等の説明が良かった。天空都市マチュピチュ遺跡が高度2400m程度で中核都市クスコの3400mに比べれば随分低い場所にあると言うのも意外だった。2023/12/18

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