ブルーバックス<br> 生命を守るしくみ オートファジー 老化、寿命、病気を左右する精巧なメカニズム

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ブルーバックス
生命を守るしくみ オートファジー 老化、寿命、病気を左右する精巧なメカニズム

  • 著者名:吉森保【著】
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  • 特価 ¥598(本体¥544)
  • 講談社(2022/01発売)
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  • ISBN:9784065268087

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内容説明

2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏と共にオートファジーの研究に携わり、この分野の第1人者としてさらにオートファジーの役割やさまざまな病気や老化などとの関連を解明し続けている著者が、この細胞の驚きのメカニズムを詳しく解説します。
私たちの体の中では、タンパク質の分解と合成が毎日繰り返されていますが、その細胞のリサイクルシステムとも言えるしくみを担う主なものにオートファジー(自食作用)があります。オートファジーの発見自体は1950年代とかなりさかのぼりますが、生命にとって非常に重要な役割を果たしていること、そして、さまざまな病気と関係があることがわかってきて注目が集まるようになりました。
この本では、まずオートファジーを理解するために、細胞の中の世界ーー数多く存在する袋や膜のしくみや、物質を輸送するメカニズム、そこで何が行われ、どういう意味があるのかーーなどを丁寧に説明します。また、ノーベル賞に結びつく研究がどのように進んでいったのか、臨場感と共にその様子を紹介します。
さらにオートファジーが生体にとって極めて重要で多岐にわたる機能を持つこともわかってきました。主要な3機能、栄養源の確保、細胞成分の新陳代謝、有害物質の隔離除去を中心に取り上げます。また、オートファジーはどのように分解するべきものを認識するのか、その秘密に迫ります。
後半では、がんなどさまざまな疾患とオートファジーの関係、予防や治療に結びつく可能性について触れます。また、著者が発見した、年齢と共に増加しオートファジーを抑制して老化や脂肪肝に関わっていると考えられるルビコンというキーになるタンパク質について詳しく紹介します。
老化や健康寿命、病気、免疫といった身近な問題の鍵になるかもしれないオートファジーの研究をあらゆる角度から語る1冊です。

目次

第1章 細胞の中の世界
オートファジー:自分を食べる
細胞は生命の基本単位
細胞の中の階層性とスケール
細胞の中は袋だらけ
オルガネラを結ぶ物質輸送システム
細胞内の物質輸送を担う生体膜
メンブレントラフィックの四大経路
分泌経路:細胞の中から外へ
エンドサイトーシス経路:細胞の外から中へ
生合成経路:ゴルジ体とエンドソームをつなぐ
オートファジー経路:細胞のリサイクルシステム 他
第2章 オートファジーの発見、暗黒時代、そして夜明け
オートファジーの発見
謎のまま取り残されたオートファゴソーム
酵母との出会い
液胞はゴミため場か
斬新な研究テーマ「分解」と「液胞」
1988年のエウレカ! 酵母にもオートファジーがあった
黒い粒の正体
電子顕微鏡で見た膜融合の瞬間 他
第3章 哺乳類オートファジーの大海原に
酵母のオートファジー必須遺伝子が哺乳類にもあった
オートファゴソームに結合するタンパク質
オートファゴソームができる様子を初めて見た
光るクラゲのタンパク質が革命を起こした
特許の前に分野の発展を
酵母から哺乳類への進化でコアATG遺伝子はすべて残った
オートファゴソームはどこからやって来るのか
小胞体起源説VSミトコンドリア起源説
論文の急増とノーベル賞 他
第4章 三つの主要機能──栄養源の確保・代謝回転・有害物の隔離除去
栄養源の確保
代謝回転
細胞の中身を入れ替える理由
有害物の隔離除去
より広範な新しい免疫システム
偶然の結び付きがオートファジー研究の歴史的発見へ 他
第5章 選択的オートファジー
分解するものを選んで包み込む
どれを分解するか。選ぶ仕組みを探る
標的は穴が開いたエンドソーム
分解の目印はユビキチン 他
第6章 疾患に対抗するオートファジー
タンパク質蓄積による神経細胞死を防ぐ
凝集しやすいタンパク質を選択的に分解
損傷ミトコンドリアを分解してパーキンソン病を防ぐ
オートファジーに関連する遺伝子疾患が少ない理由
オートファゴソームとリソソームの融合とジュベール症候群
がんやクローン病とも関連
損傷リソソームを分解し腎障害を防ぐ
予防や治療法につなげる
役に立つか立たないか分からない研究が尊い 他
第7章 オートファジーを止めるルビコン
基礎研究と医療応用をつなぐ
なぜ脂肪肝になるのか
脂肪肝ではオートファジー機能が低下
ルビコンがオートファジーを抑制
ヒトの脂肪肝でもルビコンが増えている
ブレーキ役ルビコンの発見
命名をめぐる紆余曲折 他
第8章 健康寿命を延ばす
寿命が延びる五つのこと
オートファジーの活性化と寿命延長
年を取るとルビコンが増えオートファジーが低下する
ルビコンをなくすと老化現象が改善する
寿命延長の鍵を握っているのはルビコン
脂肪細胞から分かるルビコンが存在する理由
精子形成にはルビコンが必要
がんの湿潤・転移・腫瘍形成をオートファジーが助けている
皮膚の老化を改善する化粧品
オートファジーを促進する天然の食品成分
オートファジー研究は日本が世界をリード 他

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

111
オートファジーの分子機構の解明 により大隅良典氏は2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した。著者はその研究を哺乳類に展開し、大阪大学オートファジーセンターで臨床研究をしている。オートファジーの機能とは、飢餓状態の際に細胞が自己の成分を分解し栄養源を確保するだけでなく、細胞の代謝回転と細菌など有害物の隔離除去作用であり、著者はそのブレーキ役であるルビコンも発見し、ルビコンを抑制すると寿命が延びるだけでなく、老化現象の進行が緩やかになることがわかってきた。オートファジーを活性化する食品は、発酵食品だという。2022/07/01

樋口佳之

73
病気になると、胃や心臓、肝臓など臓器の具合が悪くなったと考える…しかし実際に悪くなっているのは、細胞…病気になるということは、細胞が病気になるということ…だからこそ、細胞を理解することがとても重要/オートファジーは、あらゆる細胞が持っている仕組み…つまり生物は、どの細胞も免疫細胞の助けを借りずに有害物を排除できるという、これまで知られていたより広範な免疫システム/読みやすいブルーバックスでオートファジーの役割と可能性を学べる本だと思います。細胞内のオルガネラの役割、仕組みまで明らかになりつつあるのだな2022/03/10

きみたけ

72
著者は大阪大学大学院生命機能研究科教授、医学系研究科教授の吉森保先生。オートファジー(自食作用)の役割や様々な病気や老化との関連を解明し、細胞の驚きのメカニズムを詳しく解説した一冊。オートファジーとは、体の中でタンパク質の分解と合成が毎日繰り返されている中、その細胞のリサイクルシステムとも言えるしくみのことで、老化や健康寿命、病気、免疫といった身近な問題の鍵になるかもしれないとのことです。専門用語が多く、内容を理解するのに少し難しかったです。今後がんの予防や治療に役立つことを願います。2022/09/02

ミライ

40
オートファジー研究者の吉森保さん自らオートファジーの最新情報について解説された一冊。オートファジーは老化や免疫、認知症などの病気にも関わっている細胞のリサイクルシステム。本書では、オートファジー研究の歴史~仕組み~効果~発動方法まで一冊でオートファジーの現在がすべてわかる内容となっている。現在研究中のオートファジー関係のサプリや化粧品の話もでてきて面白い。最近所々で聞くようになったオートファジーについて詳しく知りたい人にオススメ。2022/03/09

inami

33
◉読書 ★3.5 オートファジーという言葉を最近見聞きするようになり、詳しく知りたいと思い本書を手に取りました。auto(自動)fuzzy(曖昧)ではなく、ギリシャ語のauto(自己)phagy(食べる)と言うことで、細胞が自己成分などを分解する機能のこと・・と言われても何のことやら(笑)。2016年大隅良典氏のノーベル賞受賞により注目を浴びるように・・本書ではオートファジーの役割や仕組み、さまざな病気との関係性等々、多くの写真やイラストを活用し説明していますが、自分には難しかった。健康寿命は延ばしたい!2022/09/07

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