内容説明
父のコネで都会の信用金庫の人事部に勤める深文は、安定した仕事の中で同性の先輩ともうまく付き合い、恋人との関係も良好で満足していた。居心地いい生活、それはずっと続くと思っていたのに。ある日、1人の女性新人社員が配属されたことで、深文を取り巻くバランスがゆっくり崩されていく。そして起きた、ある小さな出来事を気掛けに深文を取り巻く世界はすっかり瓦解してしまうが……。
すべてがダメになったと思ったら、何もかも捨てて南の島へ飛んでパイナップル工場で働けばいい。決して実現しない、実現させようとも思わない妄想が自分を救ってくれることもある。中毒性があり! 山本文緒の筆致が冴えわたる、誰もが共感できる日常の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aoringo
98
短大時代からの親友たち。特に不満のない彼氏。裕福ではないが過不足ない仕事。平凡だけど物事を斜に構えた目で見る主人公のその媚びない態度に好感を持っていた。しかしその飄々と映っていた彼女の身に起こる出来事の数々に背筋が寒くなっていった。私もどちらかというと他人からの評価を気にしないで自分の中に籠るタイプだったので我が身を振り返る良いきっかけになりました。甘えられる時は甘えて、頼りたい時は頼る、そんな素直な女でありたいなと思った。2022/11/17
machi☺︎︎゛
89
山本文緒さんの恋愛小説好きだなー。書かれたのが結構前だから今じゃ色々あり得ない出来事もあって、おぉーまじかとなったけど面白い。今の生活に満足していた深文だけどある1人の新入社員が入ってきた事により周りのバランスが段々と崩れてくる。ほんっとこういう女嫌だわ。深文の考える事が自分も若い頃考えた事があったりでめちゃくちゃ共感した。2024/03/13
えみ
65
湧き上がる感情を華奢なグラスの中で乱暴にかき混ぜられたみたい。マドラーがグラスに当たる度に割れてしまわないかハラハラするのに、腹立って乱暴になってしまう手は止められない、感情は飛び散り霧散する…こんな気持ちになる小説だとは全く想像していなかった。恋愛小説にしてはなかなかハードじゃないか。嫌いじゃない。寧ろ分かり過ぎる主人公の立ち位置に、記憶に残る一冊に認定できそうな予感。人は弱い。弱くて、狡い。だから他人を攻撃し、自分が間違っていない事を確信しようとするのだろう。そして恋愛は夢想から覚め初めて始まるのだ。2022/06/25
Kazitu
57
毎日、現実から逃げたいと思っていても、実際に逃げ出したりはしない。平成初期の頃を設定していて、仕事や結婚等悩みが尽きない3人の女性の話。 わかりすぎてヒリヒリしました。😥 山本文緒さんの小説が好きでした。新作がでないのが悲しすぎる。2023/05/01
優希
55
環境が少しでも変わるだけで壊れていくものがあるのですね。日常のアンバランスさが感じられる1冊でした。2022/08/03
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