人間と宗教あるいは日本人の心の基軸

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人間と宗教あるいは日本人の心の基軸

  • 著者名:寺島実郎
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 岩波書店(2022/01発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000615051

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内容説明

極端なまでに政治権力と一体化した国家神道の時代への反動から,物質的繁栄を最優先し,「宗教なき社会」を築いた戦後日本.しかし二〇世紀型の工業生産力モデルは力を失い,コロナ禍の下,日本の埋没は顕著だ.「日本人の精神性とは何か」,イラン革命の衝撃,現代のバベルの塔たる米国,世界を歩いてきた経済人がいま問い返す.

目次

はじめに――三つのプロローグ┴1 ゴルゴダの丘への道――世界を変えた男の死について┴2 高野山・奥の院への道――そして本居宣長の鈴屋での黙考┴3 バベルの塔とニューヨーク摩天楼――そして日本近代史への想い┴Ⅰ 人類史における宗教――ビッグ・ヒストリーの誘い┴ビッグ・ヒストリーにおける人類史┴グローバル・ヒストリーへの入口を探って┴アイスマンの衝撃┴人類史における宗教の淵源┴世界宗教の誕生とその同時性┴Ⅱ 世界化する一神教――現代を規定する宗教┴キリスト教の世界化とローマ帝国――欧州史の深層底流┴キリスト教の東方展開の基点としてのビザンツ帝国┴中東一神教の近親憎悪イスラム教 vs.キリスト教,ユダヤ教┴イスラムの世界化とアジア,そして日本┴Ⅲ 仏教の原点と日本仏教の創造性┴仏教の原点と世界化への基点┴仏教伝来の道 漢字になった経典の意味┴仏教の日本伝来とは何か┴親鸞によるパラダイム転換――その仏教史的な意味┴日蓮――日本の柱たらんとする意識の意味┴Ⅳ キリスト教の伝来と日本――日本人の精神性にとっての意味┴宗教改革が突き動かしたもの――西洋史理解に不可欠の視界┴キリスト教の伝来と禁制┴織田信長時代におけるキリスト教と仏教の邂逅┴それからのキリシタン――江戸期の苦闘とその闇の中での光┴内村鑑三 キリストに生きた武士――明治期の知性┴「われ太平洋の橋とならん」――憂国の国際人,新渡戸稲造┴Ⅴ 神仏習合――日本宗教史の避けがたいテーマ┴江戸期の仏教への再考察――日本人が身につけたもの┴日本と天皇の始まり――天武・持統期の革命性┴中世における神道の形成――神道の本質を考える┴天皇と仏教――泉涌寺を訪れ,理解を深める┴Ⅵ 江戸から明治へ――近代化と日本人の精神性┴新井白石と荻生徂徠――時代と正対した二人の儒学者┴本居宣長とやまとごころ┴明治近代化と日本人の精神┴明治維新とは何だったのか――埋め込まれた国家神道┴国家神道による天皇親政という呪縛――埋め込まれた密教が噴出した昭和期┴Ⅶ 現代日本人の心の所在地――戦後日本を問い直す┴戦後日本――希薄な宗教性がもたらすもの┴鈴木大拙が戦後日本人に語りかけたもの――禅の精神と「世界人としての日本人」┴司馬遼太郎を必要とした戦後日本┴国家神道への視界――萌芽と展開,そして残影┴戦後日本人としての宗教再考――問われる新たなレジリエンス┴おわりに――一つのエピローグ 比叡山の星空を見上げて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

breguet4194q

108
パンデミックの渦中でレジリエンスが最も必要とする現在こそ、宗教の真価を問われる時代である、との主張は、大いに賛同できる。本書は、人類史的な史観から入り、世界宗教の動向から日本の宗教事情を俯瞰している。特に国家神道の存在感について納得。日本人の宗教に対する意識の低さは、戦前国家神道を強制された結果、敗戦と言う結末を受け止めざるを得なかった屈辱感が影響したと思います。そもそも人間の為の宗教であって、その逆では絶対ない。改めて自分の意識の有り様を考察する一冊となりました。2022/03/31

かっさん

5
人間と宗教 #読了 日本人の宗教観がどのように形成されていったか、各宗教の歴史と、日本の歴史双方を追いながらバランスよく、まとめてある。最後の方に少し著者の考えが出てくるけど、全体的にはフラットに資料まとめました、って感じ。教養として日本宗教史全体の流れをつかむにはとてもいいと思う https://t.co/uhIegWUkdZ2022/02/08

Steppenwolf

5
G現在信頼する数少ない良識派と考えている著者による宗教と人間,特に後半は神道との関わりを論考している.私にとって初っ端の一神教に関する歴史的な説明が面白かった.後半にいたると誰とは言わないが活躍中の政治家の薄く底の浅い宗教観に基づく憲法変更について考えさせられた.せめて本書の著者の文献読破・考察を経ていることを感じさせてくれと言いたい.ショックな記述があった.私のような無宗教ほど今際の際にパニックに陥る傾向にあるという著者の知り合いの医師のコメントが書かれていた.2021/12/26

Go Extreme

4
三つのプロローグ 人類史における宗教―ビッグ・ヒストリーの誘い 世界化する一神教―現代を規定する宗教 キリスト教の世界化とローマ帝国―欧州史の深層底流 キリスト教の東方展開の基点としてのビザンツ帝国 中東一神教の近親憎悪イスラム教 vs.キリスト教、ユダヤ教 イスラムの世界化とアジア、そして日本 仏教の原点と日本仏教の創造性 キリスト教の伝来と日本―日本人の精神性にとっての意味 神仏習合―日本宗教史の避けがたいテーマ 江戸から明治へ―近代化と日本人の精神性 現代日本人の心の所在地――戦後日本を問い直す2022/01/25

Yasuyuki Kobayashi

4
評論家寺島実郎さんの宗教論。 キリスト教を始めとし、ユダヤ教イスラム教 そして仏教、神教儒教と世界中の宗教の成立ち から歴史まで広く深く解説。 知の巨人、寺島実郎さん最新刊。 難しいが内容が濃く充実した良書。2021/12/30

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