コロナ戦記 医療現場と政治の700日

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コロナ戦記 医療現場と政治の700日

  • 著者名:山岡淳一郎
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 岩波書店(2022/01発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000229777

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内容説明

なぜ日本は新型コロナの感染を食い止められないのか.二〇二〇年初頭,集団感染の発生した永寿総合病院,ダイヤモンド・プリンセス号から,デルタ株に襲われる第五波までの約七〇〇日間,各地の対応現場を克明に取材.緊急対応を続ける医療従事者や,最前線で拡大をくいとめる自治体・保健所スタッフの声から,あるべき対応を模索する.

目次

まえがき┴第1章 永寿ケース┴混乱する現場へ/流行曲線/最初の患者/アウトブレイク/最悪の事態/院内感染とPCR検査の不備┴第2章 保健所と首長たちの苦闘┴県庁のいちばん長い日/和歌山モデルの誕生/国策で縮小されてきた保健所/東京――「夜の街」の烙印と反発/感染症対策緩和ムードの中で┴第3章 ダイヤモンド・プリンセス号で何が起きたのか┴クルーズ船,着岸/制度通りでは救えない/病院のベッドをどう確保するか/エクモを使える医者はどこにいる/医療機関情報をネットで公開/患者をどう割り当てるか――「神奈川モデル」┴第4章 沖縄,夏の試練┴リスクに基づいた判断/感染拡大の火種/感染が一気に広がった/病床が足りない――「全方位医療」が崩れてゆく/医療崩壊を食い止める――「点」から「面」の支援へ/施設内感染による医療崩壊の危機┴第5章 危機に立つ精神医療┴菅とGoToトラベル/退けられた児玉案/疎外される人たち/各地の精神科病院で院内感染/苦渋の選択――身体拘束/「それでも必要な密」/絶たれる社会復帰への道┴第6章 ICUを確保せよ┴医療にたどりつけない/名大病院ICU――他診療科の医師を投入する/静岡県病院長会議――入院患者情報を共有する/国と医療現場で食い違う「重症」の基準┴第7章 自宅待機ゼロ墨田区の独行┴命の選別/地域完結型の実現――墨田区の「下り」搬送/検査能力が足りなければ作る――独自のPCR検査/「発熱外来」病院名の公表で年末年始を乗り切る/感染対策が人を殺す,という苦い教訓┴第8章 「死の谷」に落ちた国産ワクチン┴前代未聞の薬剤――驚異的な開発スピード/凍結された日本のmRNAワクチン開発/ワクチン開発を拒む国の消極姿勢/安全保障の一環としてのワクチン開発/国産ワクチン開発と「倫理の壁」/副反応と個人の選択┴第9章 死の淵からの帰還┴変異株と第四波/コロナの埋火/発症からコロナ治療へ/急変,エクモ装着/「もう一つの世界」/廃用症候群とのたたかい┴第10章 大阪医療砂漠┴医療から外れた一家/医療崩壊への道筋/保健所の機能不足,圧迫される軽・中等症病院/大阪市の自立性の崩壊/救命センター長らの連携┴第11章 歪みの起点屋形船から永寿へのリンクを追う┴タクシー運転手の行動履歴/拒まれた警告/屋形船協会の反発/屋形船と永寿をむすぶ線/ウイルスはどこから来たか/都知事選,そして断行された局長人事┴第12章 デルタ株との総力戦┴五輪と楽観バイアス/唐突な「入院制限」/現役世代の艱難/臨時コロナ病院――海外の事例/独自に挑む墨田区――備え連携する/状況ごとの地域療養モデル┴あとがきにかえて 敗北と「公」の支え┴新型コロナと政治をめぐる出来事

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

エル・トポ

14
新宿区とほぼ同じ人口密度でありながら、自治体独自の取り組みが功を成した、墨田区の対策について知りたくて読みました。①区立コロナ外来をどこよりもはやく設置、独自の検査体制。②重症者を大病院に送る「上り」だけではなく、回復期の患者を地域病院に送る「下り」の仕組みを整え、医療崩壊を防いだ。③墨東病院に感染者が発生した時は職員・入院患者全員にPCR検査を行い、クラスター発生を防いだ。④「夜の町」の感染拡大時は向島の芸妓さん全員が、PCR検査。マスコミにその模様を流し、風評被害をも防いだ。2022/02/18

紅咲文庫

11
タイトルのとおり、医療現場と政治の700日を取材したもの。新型コロナウイルスとの戦いは今も真っ只中であり、取材は困難であったろうなと考える。2020年3月に院内感染が起き入院患者43人が死亡した永寿病院など、取材する側も受ける側もどれほど辛かっただろうか。そして2021年8月には沖縄のうるま記念病院で199人が院内感染し入院患者69人が死亡している。墨田区保健所長や和歌山県知事など自分たちの知見を基に関係者たちを巻き込んで対策を整え、感染拡大の封じ込めに成功した例、大阪での救急医たちの→2022/01/26

メチコ

6
皆が皆、己の持ち場で未知のウイルスと戦い、その対策を模索していたよね…というお話し。 コロナ系ノンフィクションで常にやり玉にあげられるのが政府対応。 ただこれも見る角度によっては「政府もよく頑張った」となるのかな?2022/01/04

coldsurgeon

4
コロナ感染症パンデミックの第5波までに、日本という国はどのように戦ったが記されている。メディアでよく報道されたこと、報道されなかったこと、それおぞれの現場での混乱が主として政府主導の施策の混乱を反映してしまったことが、時に熱く、時に冷めた目で表現される。日本政府と、その周辺の専門家が仕切るコロナ対策は、今後の歴史の審判をうけるだろうが、まずは私たちが心に刻み込んでおきたい。わずか2年の中で、科学的合理性ではなく、瞬間的な政治の力学で重要な施策が決まることに、現代日本の不幸と、政治の貧しさが業種されている。2021/12/09

まわる

2
精神医療に携わる方の「政治家はエッセンシャルワーカーに拍手を、などとおだてる。もっと自己犠牲で人助けをしろと言われているようで、腹が立つ。低賃金、人手不足は誰のせいか。対人支援への金銭補償、人材のプールは必須です」という言葉に涙が溢れた。エッセンシャルワーカーの方々へ感謝の気持ちはもちろんあるけれど、無神経に表面だけの言葉で語っていたと気がついた。知ろうとすることは大事だ。 2022/10/03

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