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内容説明
『徒然草』の面白さはモンテーニュの『エセー』に似ている.そしてその味わいは簡潔で的確だ.一見無造作に書かれているが,いずれも人生の達人による達意の文章と呼ぶに足る.時の流れに耐えて連綿と読みつがれてきたこのような書物こそ,本当の古典というのであろう.懇切丁寧な注釈を新たに加え,読みやすいテキストとした.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
目次
凡例┴つれづれ草 上┴ つれづれ草 下┴解説(安良岡康作)┴章段索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
330
何度目かの再読だが、今回新たに思ったのは、第139段に限らず思いのほかに『枕草子』の発想に似ているということ。つまり現象から距離を置き、「知」の営為において人の世を眺めているのである。それは、彼らが等しくそうぜざるを得なかったのでもあるが。達観していたようでもあり、それはまた已むことのない執着の相でもあった。同じ中世の随筆としても、時代に淫するがごとくに埋没する『方丈記』とは、そこが大いに違っていた。もっとも、私的には長明の煩悶をこそ愛するのだが。一方、王朝から続く「あはれ」は、ここに終焉するだろうか。 2017/06/27
藤月はな(灯れ松明の火)
73
初めて徒然草を全文で読みましたが、本当に面白く、今も古びてない!所々に「現世は仮の世であり、来世の往生のために只管、仏門に専念すべし」という当時の思想は見えるものの「短気は馬鹿にされる」や「懲りすぎた風流は人に理解されない」、「深いトラウマを話し過ぎると却って真なる友達ができにくい」など今でも通じることばかり。私の中では、兼好法師はマツコデラックスか有吉のような毒舌だけどウィットに富んでいる人が「ねえ、こんなことがあるんだけど~」とツイッターで呟いているようなイメージです^^;2014/07/23
syaori
56
「つれづれなるままに」という有名な序段から始まる本作は、作者の思ったこと、聞いたこと、宮廷や祭の故実など様々な物事が短い段に分けて語られていきます。有名な仁和寺の法師が岩清水へ詣でる話のおかしみ、「荒れたる宿」にいる女を訪問した思い出を聞いた話の風情などに、「花は盛りに、月は隈なきを見るものかは」と言った美意識や人も物も不定で移ろうものなのだという無常の思想が影を添え、そのコントラストと多彩さに魅せられてしまいます。簡潔で美しい文章のなかから現れる高い美意識、含蓄の深い言葉には何度もはっとさせられました。2018/06/20
シュラフ
30
物欲とか金銭とか肩書に執着する生き方の対極にあるのがこの『徒然草』という書物である。「名利に使はれて、閑かなる暇なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ」(第38段)、この一文章を読んで、思わず我が身を振り返り恥じる人は多いのではなかろうか。モノとかカネとか名刺の肩書きにこだわった生き方というのは実につまらないということ。持つということはケチとか保身につながる。それは端から見ると、とても見苦しいことなのである。精神的に豊かな人生をおくるための参考の書としたい。ただ、書いてあることが極端すぎる部分もあるのでご注意2016/03/12
金吾
26
兼好法師の人生観を書いているエッセイです。結構片寄っているなあと感じる部分があったり、ユーモアを感じる部分があったりして、面白かったです。どのように生きるかの一つの例であり、死について参考になると思いました。2021/11/05