内容説明
列車内に死体!? 陰謀渦巻く事件に凸凹コンビが挑む! 総裁・松岡洋右から特命を受けた、満鉄の秘密調査員と軽薄で謎めいたイケメンの相棒――。列車が目的地に到着するまでに二人は真実を探り出せるのか。昭和11年(1936)、満州。詫間耕一は、南満州鉄道株式会社の内部調査の秘密調査員として、書類紛失事件を調べることになる。当初は簡単に解決できる事件に思えたが、事件にかかわりがあると目された人物が殺されてしまう。コンビを組むことになった辻村とともに、事件の謎を追うために乗った哈爾浜行きの急行列車のなかで、さらなる殺人事件が起き……。「八丁堀のおゆう」シリーズの著者が贈る、ノンストップミステリー! 文庫書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
121
満鉄が舞台のミステリはアリバイ崩しが中心だった鮎川哲也『ペトロフ事件』以来だが、こちらは西部劇風味のスパイ小説か。松岡総裁時代の満鉄で情報漏れを追跡する秘密調査員とは漫画の『特命係長』に似た設定だが、特務機関やソ連情報部も暗躍する欧亜急行内での駆け引きと殺人事件に加え、インディアンならぬ匪賊の襲撃まであるなどストーリーテリングの巧さで読ませる。面白さは満足できるが、登場人物が型にはまっているのが残念。何より大連生活の長い鮎川氏に比べ現地人や風景描写は調べて書いた感が拭えず、最後まで満州らしさに乏しかった。2022/07/11
へくとぱすかる
66
鮎川哲也『ペトロフ事件』の時刻表(1942年改正)では、16時30分大連発の欧亜急行はすでになく、50分発の急行17列車はまだある。その後の情勢の変化だろうか。事件のトリックよりは、激動の時代の、個人や組織、国家間をめぐる複雑な利害関係の方が、むしろ解かれるべき謎にちがいない。巨大な流れにからまっていく有様は、近代史ドラマをまた別の視点から見ている思いがする。そして何よりも満鉄という鉄道の幻影こそが、物語を走らせていくエンジンだろう。物語の翌年が日中戦争勃発であることを思えば、人物たちのその後が気になる。2022/02/05
fuku3
29
2022.2.28読了。昭和11年南満州鉄道の資料課で粗末な資料の紛失が何度か起こる!総裁の松岡洋右の命で詫間耕一は紛失資料の探索を始めたが犯人らしき男は殺され憲兵隊や特務機関の諸澄、女給の春燕、探偵の辻村など怪し奴らが現れ満鉄に乗り大連からハルピンまで行くことに…。どうしてもこの時代背景や現状に置かれた満州の事などの説明が多くなり、その分散漫になって長く感じた!鉄道ミステリにしては汽車に乗るまでに時間掛かりすぎ!ミステリ自体はそれそど面白くなかった!当時の満州の味わいや雰囲気は充分に伝わって来た!2022/02/28
きょん
16
探偵ものというよりは、日中戦争前夜の満州を舞台にしたサスペンスものの性格の方が強いかな。満鉄社員であり、社長直属の秘密捜査員・詫間、辻村ペアより、特務機関諸澄少佐と謎の美女・春燕の印象の方が強め。国連脱退で有名な松岡洋右が満鉄総裁を務めていたとは知らなかった。2022/02/07
kaede
15
満州、教科書にあったから名前だけは聞いたことがある。だが実情は何も知らない、時代背景も。分からないことは調べながら読みすすめたので読了まで時間がかかりました。数カ国が暗躍する、まさに混乱の国だったよう。幾重にも重なる思惑、頭が混乱するする(笑)地図や満鉄の挿絵などがあったら、もう少し読みやすかったかも。これを気に満州国に興味が湧きました。2022/03/17
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