内容説明
花浦財閥総帥の久兵衛は軍部に非協力的だったために、息子が懲罰的に徴兵されてしまう。1945年の敗戦後、GHQ主導による財閥解体の危機に直面し、苦悩する久兵衛が下した決断とは? 今こそ求められる経営者像を活写する実録長編経済小説!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
納間田 圭
134
日本史の教科書で習った”財閥解体”。その財閥の一つ”三菱”が題材。一世風靡した三菱岩崎家の東京湯島の大豪邸(作中では花浦邸)の執事の男。彼の目線で語られる…終戦前後の日本の姿。焼け野原となった東京大空襲。マックァーサー元帥と日本民主化政策。昭和天皇の人間宣言。ギブミーチョコレートと叫ぶ…子ども達。そして…明治維新から日本を支え復興に貢献した大財閥の最後。こういった…歴史の元に今が存在していることを…決して忘れてはいけない。 副題に「巨大財閥解体と総師の決断」とある。2022/09/19
まつうら
56
三井財閥と池田成彬を描いた「我、弁明せず」がおもしろかったので手に取った。同じ著者が三菱財閥と岩倉家を描いているということで、期待しながらページをめくる。安田財閥の自主解体をステークホルダー軽視と否定し、GHQの財閥解体指令に最後まで抵抗した岩崎小弥太は、この作品でどんな決断を見せるのか? 三菱グループ各社は、財閥解体をどう乗り切っていくのか? タイトルからそんな物語を期待したが、見事にはぐらかされてしまった。まさか本郷の私邸を退去することが総帥の決断だったとは! これはちょっとあんまりじゃないですか?2023/04/16
はじめさん
19
三菱モデルの花浦財閥。米国役人と日本人芸者の間に生まれ、花浦家の養女として育った令嬢。長じてアメリカに嫁ぎ、子や孫に恵まれたが、日本でかつて屋敷に仕え、自らも慕った執事の手記が見つかったとのことで緊急帰国! 栄華を極めた財閥が戦争にどのように振り回され、そして敗戦国、進駐軍による接収…紳士服店もびっくりの解体からの再生。花浦地所に行ってみよう。/ 財閥解体は遠くなりにけり。四国の土佐を起源にするみtu…ではなく花浦グループ。CMでなにかしらの社名を見ない日はない。/ 実際、新卒の人気企業もこの辺だよなぁ…2022/02/22
Book Lover Mr.Garakuta
16
【図書館本】【速読】:面白いというか、そこまでするんかいと思ったが、良くここまで調べて本にまとめることができたなと感じざるを得なかった小説だ。自分と違ってそこらへんはプロだねと思った次第で。自分も、そのレベルまで、到達したいと思うし、面白いゲームのシナリオライターになりたいと思わせられるかのような内容の濃い話だった。内容的には財閥を解体するという話であったが、そんな強引な展開もあり得るんだと思いもした。2022/06/27
モーモー
12
国、軍部とともに急速に巨大になって行った旧財閥系解体の話し。 アメリカにより、戦後何も無くなった焼け野原から急速に復興した日本。物質面では豊かになったかもしれないが、精神面はズタズタにアメリカに切り裂かれた印象。 敵だったアメリカに媚びる日本人、生きることに精一杯だったとはいえ、失ったものは大きい2022/06/18