内容説明
生命誕生からおよそ38億年。地球上ではおびただしい数の生物種が出現と絶滅を繰り返してきた。現在でも、例えばトキやニホンオオカミはとうに滅び、イリオモテヤマネコ、ゾウ、マナティー、シロナガスクジラなどが絶え果てる寸前である。そしてこの先、人類も地球上から消えていなくなるのだろうか――。絶滅と生存を分ける原因は何か。絶滅から生命の進化を読み解く新しい生物学の教科書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
90
実際に絶滅した生物や絶滅しそうな生物の話が主体だと思いましたが、生物学の要素が強い内容でした。種の起源や遺伝子学からみた絶滅が説明されています。2023/10/31
なっぱaaua
44
知的好奇心をくすぐる良書。「絶滅」って何?って問われれば解釈によって違うことがよく分かった「ホモ・サピエンス」は「ホモ・ネアンデルターレンシス」と交雑したので、ネアンデルタール人はある意味絶滅したのではないという。進化はいろいろな困難を乗り越えたものがただ残っただけ。偶然や人間が生活してるだけで絶滅は起こる。恐竜も鳥として生き残っている。人間もそこかしこで争いが起こっているが遺伝子的にはほぼ同じ。何でそこに優劣つけようとするのだろうか、改めて過去から現代の戦争や紛争を考えて不毛であると感じた次第。2022/05/12
to boy
28
地球上に生命が誕生してから数多くの種が絶滅してきたが、その理由は様々で、環境の変化に適応できなかったり人間を含む捕食者に取られたりなどがあるが、何故か分からないケースも多い。著者は種にも寿命があるのではないかと推測されているところが面白い。そして種の絶滅という概念さえ曖昧だという。恐竜は絶滅したと言われるが、現代の鳥はその子孫だし、耐寒性のあるネアンデルタールの遺伝子を引き継いだホモサピエンスだけが現代まで生き延びているなど、進化を巡る考えを見直すきっかけになった。2022/04/17
活字スキー
23
地球上に生命が誕生してからおよそ38億年、様々な種が生まれては消えていった。地球環境は絶えず変化し、度々発生する大量絶滅によって過去に発生した生命の99%以上が既に死に絶えた。驚くべきことに、それでも命は続いている。7度目の大量絶滅とも言われるスピードで多くの種が絶滅に向かうその中心に君臨するのは、言うまでもなく、今や80億にも達しようとするホモ・サピエンス。しかし忘れるな。【たけき者もついには滅びぬ】2023/06/15
Katsuto Yoshinaga
17
ビジネス書を中心に適者生存という言葉がもてはやされている。この言葉から多様性も手垢がつくほど多用されているが、私は使われ方がおかしいと感じている。そこで本書は「アメリカの古生物学者SJグールドは「多様性」ではなく「異質性」という言葉を使っています」とくる。古さを強調する観光資源にも怪しさを感じていたところ、「(屋久島あたりの植物は地殻変動で消失しているから)最も古い屋久杉は8500年生きているはウソです」ときた。著者の本は初読みだったが、非常に面白かった。ただ、学術上のネーミングの説明はくど過ぎるかな。2022/02/09




