内容説明
社会科学からみた「福祉国家」
工業化された世界で、公的支出のかなりの部分を吸収する高度な福祉国家装置を持ち合わせていない国家は存在しない。
他方、福祉国家は多様な形態を取り、給付の手広さや手厚さには幅がある。
それゆえ、福祉国家の存在はあらゆる先進社会の特徴であるにもかかわらず、その全容は判然としない。
これに加えて、財源や税金をめぐり常に政治的に争点化されているため、左右両極でその像が大きく引き裂かれている。
本書は、救貧法の時代からポスト工業社会までの歴史を辿り、その多様な形態(社会民主主義的レジーム・保守主義的レジーム・自由主義的レジーム)をまず確認する。その上で給付のあり方(社会保険・社会扶助・ソーシャルワークなど)をおさえるのが特長だ。
そこで浮かび上がるのは、福祉国家が貧困層より中間層を優遇するシステムであるということである。
この点は、福祉国家が猛攻撃を受けたサッチャーとレーガンの「ニューライトの時代」も変わらなかったという。「ウェルフェア」から「ワークフェア」へ、福祉国家はいかに変容するのか? 入門書の決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
肉尊
41
犯罪学、社会学の専門家である著者の福祉国家概論。福祉国家は資本主義経済を維持するうえで不可欠であり、国家は福祉しかしないのでなく福祉も行うのである。今やNPOを始めとする民間の相互扶助組織の存在感も無視できない。本書では日本の社会保障については触れられていないが、福祉国家に雛型があるのではなく各国様々。そもそも福祉国家は資本主義経済に代わるものではなく対処療法的な附属物という認識(p120)が必要のようだ。モラル・ハザード化せぬよう、何のための社会保障かという考察も重要だと感じた。2021/12/21
jackbdc
8
本書の主張は明白。資本主義や民主主義の持続可能性を支えるのが現代福祉国家の役割。資本主義は破壊的な特性があり放っておくと自滅的な破壊に繫がる懸念がある。社会の変化を見極めて適切に制御する必要があるという本書の整理は目新しさはないが納得性は高く満足。現代的課題としてジェンダー・家族・人口・高齢化・脱工業化・労働市場、そしてグローバル化:国民国家という枠組を超越した概念も登場し、複雑さや困難さの一端を思い知る。原理的に切れ味良い回答は幻想であり、着地点を探る調整作業を繰り返して復元性を高める旅なのでは。2021/10/17
hurosinki
7
選書ツアーで読んだやつ。福祉国家を経済と関連づけて論じてるのが特徴。 福祉国家を市場の失敗や不安定性を軽減(≠根治)し、資本主義を持続させる装置として描写する。つまり、「資本主義は、自己破壊を避けるために、みずからを相殺する諸力を必要とする。そして、福祉国家とは、機能的、制度的なかたちで確立されたそのような諸力が具現化したものである。」(p198) 公平と効率がトレードオフではないという話(p134)や、第5章で紹介される福祉レジーム論は、有斐閣ストゥディア『政治経済学』の方がわかりやすいかもしれない。2022/12/11
sk
6
福祉国家についての包括的な教科書。勉強になる。2021/12/18
葛城吉隠
3
訳者や福祉レジームの概念を提起したエスピン=アンデルセンの述べる通り入門書以上の入門書と感じます。 学部のゼミがこの話を取り扱っていたので懐かしいなと思い読んでいました。2021/12/21
-
- 電子書籍
- DUST BOX -ダストボックス- …
-
- 電子書籍
- 浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸…
-
- 電子書籍
- 武装少女マキャヴェリズム【分冊版】 8…
-
- 電子書籍
- 戦略結婚 ~華麗なるクズな人々~[ばら…
-
- 和雑誌
- 群像 (2025年11月号)




