内容説明
ヒスイの本場は中国と思われがち。しかし、縄文時代から弥生・古墳時代にかけて日本列島にも独自のヒスイ文明が栄えていた。ヒスイは神聖な呪具として、あるいは権威の象徴として重宝されていて、一部は朝鮮半島に輸出された。日本列島でのヒスイ原産地が再発見され、遺跡から出土するヒスイが国産だったことが明らかになったのは近年のことで、原産地の新潟県糸魚川市の姫川や付近の海岸は、近年のパワーストーンブームのなかでヒスイ採集のメッカになっている。
一般にヒスイは緑色半透明な宝石と思われているが、基本色は白で、異種鉱物が混じることで緑・青・黒・藤色などに発色する。本書では古代ヒスイ文明消滅の謎に迫り、あわせてヒスイの鉱物学をひもとき、現代のヒスイ海岸でヒスイ原石を探すコツも教える。
これまでのヒスイの常識をくつがえし、日本の古代史を輝かしい宝石文明の視点から見直す、この一冊で日本ヒスイのすべてがわかる事典!
目次
第1部 日本列島に秘められたヒスイ文明の不思議
はじめに――日本ヒスイは縄文時代以降五千年の歴史を誇る
第1章 日本ヒスイは最高のお守り――これがあれば心も身体もまるごと癒される
1 勾玉に宿る祖霊のパワーが持ち主を助ける
2 日本翡翠情報センター好みの正しい勾玉の選び方
3 これなら勾玉が苦手な人も好きになれる新作勾玉
4 ヒスイ大珠はパワーを汲み出す井戸
5 呪術への理解がないと古代は見えてこない
6 ヒスイ石笛の強力な音の浄化力
7 日本ヒスイ・ブレスレットは幸運を結びつける
第2章 日本列島ヒスイ文明の謎――秘められた縄文ヒスイには祖霊への愛が充満していた
1 日本列島を謎のヒスイ文明が覆っていたことの不思議
2 ヒスイ製大珠の出土は意外なほど少ない
3 天然石ピアスと磨製石斧からヒスイ大珠への飛躍
4 縄文時代のあまりの長さに息もたえだえ
5 縄文時代の人口は現在の杉並区の半分程度
6 先祖は石棒に万物を育むパワーを見ていた
7 縄文の先祖は女神殺しの儀式をおこなっていた
8 洞窟の女神は殺されて地母神として再生した
9 意識がブッとんでしまうほどに激しく
第3章 日本神話と勾玉のパワー効果――アマテラスは全身に勾玉を着けて霊的武装した
1 弥生時代は水田稲作と青銅器祭祀で始まる
2 弥生の日本ヒスイ勾玉は管玉とセットだった
3 『魏誌倭人伝』に記録された日本ヒスイの勾玉
4 弥生・古墳時代と勾玉のアウトライン
5 『古事記』と『日本書紀』と二つの歴史書がある不思議
6 アマテラスは勾玉パワーを頼みにスサノオに立ち向かう
7 八尺瓊勾玉と五百津之御統珠
8 アマテラスとスサノオのウケヒは呪術合戦だった
9 ウケヒから生まれた五柱の男神と三柱の女神
10 アマテラスの岩戸隠れと鏡・勾玉の役割
11 祭祀用勾玉はフトミテグラ(太御幣)につけられた
12 フトミテグラは天皇にも捧げられた
13 豪族たちは勾玉を差しだして降伏した
14 三種神器の実物を見た者はいない
15 アマテラスの誕生にも大きな謎がある
16 草薙剣はエクスカリバーをしのぐほどすごい
17 八尺瓊勾玉は歴代天皇も触れたことがない
第4章 大国主と奴奈川姫の恋物語――オオクニヌシは勾玉貿易によって財をなした
1 日本神話における天上界から地上界への移行
2 オオクニヌシと大黒さまは同じ神様
3 オオクニヌシとヌナカワヒメの求婚譚
4 糸魚川地方のヌナカワヒメ伝説
5 出雲大社所蔵のヒスイ勾玉の謎
6 荒神谷遺跡・加茂岩倉遺跡とヤチホコ
ほか