内容説明
敗戦と戦後復興の間に暗渠のように埋没した連合軍による人身被害。旧日本軍の爆薬処理、無謀な運転による事故と呼びがたい事故、燃料タンクの人家への投下、強盗殺人、等々、無防備な市民へのさまざまな形での暴力を掘り起こし、平和と民主主義をもたらし、米軍の占領政策の手本といわれた日本占領の現実を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
29
自由と民主主義をもたらすために来たはずの占領軍が、実際は残虐な行為、ときには面白半分と思えるような気まぐれな暴力をふるっていたことが、被害者自身の証言から明らかにされる。不発弾処理の際の巻き添えから車の暴走、銃撃から強姦にいたる地獄の詳細に暗然とする。問題は誰も責任をとって賠償しようとしないことで、加害者の兵士は配置転換でいなくなり、日本政府は占領軍の行為には関知しない。雀の涙ほどの見舞金で泣き寝入りさせられた無名の人々の声を丹念に拾い上げた著者に敬意。分厚い本だが全国の図書館で読めるようにしてほしい。2022/04/24
Toska
18
あまりに衝撃的。海水浴場で米軍機に銃撃され死亡した学童。窃盗犯と間違われ、正座し両手を合わせた姿勢のまま背後から撃ち殺された男性。下半身を丸出しにして若い娘を追いかけ回す米兵。占領軍兵士の暴走運転による交通事故死は日常茶飯事。しかも被害者や遺族には補償も謝罪もほとんどなされない。これら全てが「戦後」の日本で起きていたのだ。著者はまた、不可視化されがちな女性に対する性犯罪や在日朝鮮人の被害にも目を向けている。2024/07/09
takao
3
ふむ2023/06/06