内容説明
引きこもりの日々から突然、たった一人の家族である母を亡くした坂本曜。
社会生活に無知な彼がとったその後の行動、そして流転の日々――
人々のつながりと家族の再生を描いた連作短篇集。
母の笑った顔は、忘却していた。
でも、「曜、しっかり生きろ」と聞こえた声は母なんだ。
雨上がりの空を仰いだ。
遠い日のアパートの部屋の匂いがした。 (本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
柊子
18
詐欺を重ねた不幸な男。周りに支えられ、心を入れ替え、新しい人生を歩もうとしている。けれど、彼に騙され、心を閉ざしてしまった高齢者もいる。二度と笑わない彼女に、男はこの先、何ができるのか? 明るいラストに仕立てているが、読後感はやたら重い。2022/05/29
たかぴー
1
8割くらい重い話だったけど、現代社会において大切なことを描写していると思います。読めてとてもよかったです。2023/06/01
ロバさん
1
たまたま面出しされてて手に取った。暗くて重くてどうするか迷ったけど、読みやすかったのと、この人ほんとに悪いやつじゃないなと思ったので読みきった。時勢の話題も入ってて全然知らない作家さんだったけど、読んでみてよかったと思う。2023/01/16
倫敦バス
1
淡々と、主人公の人生を描いていく。盛り上がりもないので、日記を読んでいる気分。 最終的に主人公は世間一般的には幸せな部類に入ることができたんじゃないだろうか。 仕事、好きな人、父親など、やっと平凡に暮らせていける。 この時期なので、コロナがうまく使われているのも良かった。 実際コロナで人生が良いようにも悪いようにも変化した人がいるのだな、とおもう。2022/12/25