越境する認知科学 5<br> 心を知るための人工知能 - 認知科学としての記号創発ロボティクス

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越境する認知科学 5
心を知るための人工知能 - 認知科学としての記号創発ロボティクス

  • 著者名:谷口忠大
  • 価格 ¥3,740(本体¥3,400)
  • 共立出版(2021/12発売)
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  • ISBN:9784320094659

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内容説明

子どもが概念を形成し,言葉を覚えていくように
ロボットが自ら学習し発達することができるのだろうか。
人工知能が人間の認知システムにおける学習と発達のダイナミクスをひも解く。

目次

表紙
はじめに
第1章 実世界認知のモデル
1.1 記号創発ロボティクス
1.2 認知科学とロボティクス
1.3 科学におけるモデル
1.4 「シミュレーションの科学」におけるモデル論
1.5 ロボットの定義と身体性
1.6 「認知的な閉じ」と機能の構成
1.7 言語,図式,シミュレーション,ロボット
第2章 人工知能と記号の旅路
2.1 人間にとっての記号
2.1.1 記号の三項関係
2.1.2 記号の恣意性とカテゴリ化
2.1.3 符号とでも呼ぶべき「記号」と記号
2.2 計算機と記号論理学にとっての「記号」
2.2.1 物理記号システムにおける記号
2.2.2 「記号」接地問題
2.2.3 連続的な認知の表現と記号主義からの別離
2.3 知覚的記号システム
2.4 創発的記号システム
2.4.1 記号接地問題から記号創発問題へ
2.4.2 記号創発システムと創発的記号システム
2.4.3 記号創発問題
第3章 カテゴリ形成と確率的生成モデル
3.1 カテゴリや概念の学習と教師なし学習
3.1.1 カテゴリと概念
3.1.2 教師あり学習と教師なし学習
3.1.3 「認知的な閉じ」のモデル化
3.2 確率的生成モデルの基礎
3.2.1 ベイズアプローチと確率的生成モデル
3.2.2 内的表象と潜在変数
3.2.3 正規分布の確率的生成モデル
3.3 混合正規分布によるカテゴリ形成
3.3.1 混合正規分布の生成過程
3.3.2 カテゴリ形成の確率的生成モデル
3.3.3 多様な要素分布とカテゴリ形成モデル
3.3.4 クラスタリングから,より複雑な概念形成へ
第4章 概念とカテゴリを形成するロボット
4.1 マルチモーダル物体概念の形成
4.1.1 マルチモーダル物体概念形成過程の表現に向けて
4.1.2 ロボットによるマルチモーダル物体カテゴリ形成
4.1.3 MLDA:物体概念形成モデル
4.1.4 物体カテゴリ形成におけるカテゴリ数の同時推論
4.1.5 物体概念に対応する語彙の学習
4.1.6 クロスモーダル推論
4.1.7 モダリティ重みによる多様なカテゴリ形成
4.1.8 階層性を持つマルチモーダル物体概念形成
4.1.9 マルチモーダル物体概念に基づく能動知覚
4.2 位置と画像と単語による場所概念の形成
4.2.1 実環境タスクと空間理解
4.2.2 マルチモーダルな場所の概念
4.2.3 SpCoSLAM:場所概念形成モデル
4.2.4 階層的場所概念の形成
4.2.5 クロスモーダル推論による自己位置推定と場所の名前の想起
第5章 語彙を獲得するロボット
5.1 マルチモーダル情報を用いた語彙獲得
5.1.1 連続音声からの単語発見
5.1.2 二重分節構造
5.1.3 ベイズ教師なし単語分割
5.1.4 実音声からの語彙獲得における音素認識誤り問題
5.1.5 共起情報を用いた語彙獲得
5.1.6 NPYLM-MLDA:単語と物体概念の同時獲得モデル
5.1.7 SpCoA++:単語と場所概念の同時獲得モデル
5.2 ノンパラメトリックベイズ二重分節解析
5.2.1 教師なし学習による音素と単語の同時推論
5.2.2 HDP-HLM:音声言語の二重分節構造モデル
5.2.3 二重分節解析:音声データのみからの音素と単語の推論
5.2.4 二重分節解析の構成論が示したもの
第6章 内的表象を生み出すディープラーニング
6.1 ニューラルネットワークと人工知能
6.1.1 ディープラーニングの潮流
6.1.2 人工知能とコネクショニズム
6.1.3 ニューラルネットワークとパターン認識
6.1.4 ディープラーニングの数理的実体
6.1.5 CNNと特徴抽出フィルタ
6.1.6 ニューラルネットワークの内的表象
6.2 分散表現と内的表象
6.2.1 word2vec:単語の意味のベクトル表現
6.2.2 分散表現と局所表現
6.2.3 エンコーダ・デコーダモデル
6.2.4 マルチモーダル・ディープラーニング
6.2.5 内的表象のモデル
6.3 確率的生成モデルとニューラルネットワークの架け橋
6.3.1 自己符号化変分ベイズ
6.3.2 変分ベイズ推論
6.3.3 推論モデル
6.3.4 オートエンコーダと変分オートエンコーダ
6.3.5 確率的生成モデルとニューラルネットワーク
6.3.6 連続的な内的表象に向けて
第7章 記号創発ロボティクスと認知理解の発展
7.1 統合的な認知システムの構成論に向けて
7.1.1 知覚的記号システムとマルチモーダル確率的生成モデル
7.1.2 マルチモーダル概念形成の基本モデル
7.1.3 数理モデルによる記述の拡張
7.2 概念やカテゴリや内的表象のモデル表現
7.2.1 カテゴリ
7.2.2 概念
7.2.3 記号
7.2.4 内的表象および特徴表現
7.2.5 単語と「記号」
7.2.6 離散変数またはトークン
7.3 高次認知機能への道
7.3.1 行動と言語の文法
7.3.2 概念結合(全体と部分の意味)
7.3.3 観測に基づく論理推論
7.3.4 統語的な意味と知覚的な意味の統合
終章 越境する記号創発ロボティクス
参考文献
あとがき
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りょうみや

30
前著の「記号創発ロボティクス」が面白く、この「越境する認知科学」シリーズ他書も良かったのでその流れで手に取った一冊。前著に最新のディープラーニングの項目を加えバージョンアップした内容。人間の認知の深層に迫っていく感覚が得られる。しかし専門性も大幅に上がっていて数式も出てくるので読みやすさは圧倒的に前著。最後に物理学者が微分方程式を扱うようにあまねく認知科学者が確率的生成モデルを扱い議論を前進する時代が待望されると言うが、それに納得させられる。2022/12/25

shin_ash

6
記号論的な話とパターン認識な話はどの様に繋がるのか?いわゆる“記号接地問題”的なところに興味があった。そして本書は自分が知りたい、理解したいと思っていることが言語化されていた。本書では記号という言葉は慎重に扱われ「記号」を前提にする記号接地問題は存在しないと言う。そういう意味では記号接地問題と言うのはよくないだろう。「認知的な閉じ」を前提にする記号創発システムとその構成論的研究アプローチである記号創発ロボティクスのモデルは説得力がある。また構成論的であるためアナロジーを得やすく実務に応用しやすい様に思う。2021/05/22

Haruki

5
前著に続く「認知的な閉じ」を前提とした記号、言語の獲得について、発展著しいAI技術による高次元特徴表現のグラフィカルモデルを中心に、人間の認知構造を意識しつつその概要と2020年時の到達点を知れる。記号接地問題ではなく記号創発問題と喝破し、カテゴリや概念形成のための確率的生成モデルを導入し、マルチモダリティによる観測情報を通じて内的表象の潜在変数を教師なし学習で推論していくアルゴリズムの構築、また認知の構成論的理解を目指す。分散表現やVAEの強力なアルゴリズムや統語的理解から、圏論との関連が微かに見える。2023/12/24

Go Extreme

2
実世界認知のモデル:実世界認知 記号創発ロボティクス 認知科学とロボティクス 科学でのモデル ロボットの定義と身体性 認知的な閉じと機能の構成 人工知能と記号の旅路:人間・計算機と記号論理学にとっての記号 知覚的記号・創発的記号システム カテゴリ形成と確率的生成モデル 概念とカテゴリを形成するロボット:マルチモーダル物体概念の形成 位置と画像と単語による場所概念の形成 語彙を獲得するロボット 内的表象を生み出すディープラーニング 記号創発ロボティクスと認知理解の発展 越境する記号創発ロボティクス2021/03/07

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