内容説明
明治三十九年、帝都東京。千武男爵家の令嬢・斗輝子は、書生の影森怜司を供に、政府重鎮の黒塚伯爵家で行われた夜会に当主である祖父の名代として出席した。しかし夜会の最中に黒塚伯爵が何者かに毒殺されてしまう。不当な疑いをかけられた千武家の名誉のため、斗輝子と怜司は事件の真相を調べ始める。だが、その裏には身分に縛られ、ままならぬ生き方を余儀なくされる人々の大きな秘密があった。すべての真実を知ったとき、斗輝子は――。勝ち気な華族令嬢と怜悧な書生、対照的な二人による明治謎解き譚。
※本書は2014年、幻冬舎文庫より刊行された『帝都東京華族少女』を改題し、大幅に加筆修正したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
68
『帝都東京華族少女』を改題・大幅加筆修正。『帝都~』は既読だったけれど、確かにお嬢様と書生のバディぶりの不自然さ他モロモロ読みやすくなっている。怜司の父親の件やおじい様だけが知っている斗輝子の許婚の件など謎が残ったままなので、シリーズ化してもらえると嬉しい。2023/08/22
タツ フカガワ
65
明治39年、政府の重鎮黒塚伯爵邸で開かれた夜会に、千武男爵の名代として孫娘の斗輝子が書生の影森怜司を伴って出席。ところがそこに浪人が刀を手にして乱入、怜司が取り押さえて大事には至らなかったが、その直後黒塚が死亡する。斗輝子たちは毒殺を疑って犯人捜しに乗り出すと……。本格派推理小説の趣もある導入部から、やがて華やかな社交界の陰で営まれた切なく苛酷な人間模様が明らかになる終盤へ向かう構成がお見事。斗輝子/怜司のミステリーをまた読みたいものです。2024/06/30
みい坊
32
家の為に16歳で40代半ばの伯爵に嫁がされる琴子。父、兄の思惑で人生を決められてしまう令嬢たち。女性の意思を認められない時代に、千武男爵の孫娘、斗輝子の伸びやかな好奇心と行動力は異質。書生の影森と伯爵殺害の謎を追い20年前の理不尽な事件を知る事に。斗輝子が影森に言う「お祖父様の手のひらの上…不便がないならしばらく乗っていればいい…お祖父様が道を間違えたと思ったら闘う覚悟があれば」斗輝子の潔さに惹きつけられる。今回、残された謎はこれから明かされるのかな。期待して待ちたいと思う。2025/02/10
み
23
面白かったぁ♪大奥づとめの作家さんだ~と手にした作品、この作家さん好きかも、まだ二作目ですが(^^)斗輝子さんも怜司さんも、当主もお兄さんも皆さんの今後が気になります。明治から大正への移行期も近いし、シリーズ化して欲しいです。2023/01/22
しのさー
21
「言葉にできないそんな夜」に著者が出ていて惹かれて選んだ一冊 斗輝子と怜司、斗輝子と女中の八重のやり取りが面白かった こんな毒殺とかがなければ、なんでもござれのお嬢様の暮らしは楽しそう 続編もありそうなラストだったので、続きがあったらいいな2023/06/28