内容説明
海を臨む片田舎。京子は映画制作という職を失い、その憎しみの故郷に帰ってきた。
シングルマザー、主婦、サブカル女etc.……町に暮らす女たちは、様々な男と交わり、田舎の人間関係は地獄の様相を見せる。
京子は這い出ることができるのか?
性と生とめぐる壮大な人間ドラマを描いた傑作長編。
<解説>東良美季
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
桜もち 太郎
15
素晴らしかった。もっと評価されてもいい作家だと思う。主人公の京子は東京から映画の仕事を捨て、逃げるように実家のある田舎に舞い戻る。土地名は出ていないが、京都から2時間電車に乗り海のある街らしい。田舎の閉塞感、筒抜けの噂話、嫌で仕方がない毎日。「わたつみ」とは京子が務めるかまぼこ製造の会社の名前だ。そこに勤務する人間たちの群像劇も横の広がりを見せており、京子の考え方に深い影響を与える。都会であろうが田舎であろうが人間の欲望は変わらない。男にしろ女にしろ「人は誰でも生きていくうえで、罪を背負っている」→2022/10/23
まめの助
5
★★★☆☆ある事件をきっかけに田舎に帰って来た女と、同じ職場の人たちのお話。罪を犯した罰を己に科す為嫌いな街へ戻って来た主人公。よく耳にする、田舎特有の密な人間関係や閉塞感が半端ない。そのせいか、自分にない物を手に入れる事に貪欲で人間味に溢れている。それが人間らしさで、可愛さなのだと思わせてくれるのが、さすが。皆何か背負いながら懸命に生きているから、あなたはひとりじゃないし、弱いけど強いのよ!と伝わって来る。2023/05/21
triple_port
3
北の桜木紫乃.南の花房観音と言いたくなる作品。桜木紫乃の作品で感じるジメとした湿気はないが、どことなく曇天の空を感じる。最後、主人公が自分の進む道を確信できたのは良かったと感じるし、良い余韻を残す終わり方!2023/09/25
ざき
2
鬱屈としたリアルな田舎。運命に引き戻された、みたいな主人公だけど自分のやらかしじゃんねってなった。罪ってほどのことじゃないよたぶん。いきたいとこいけばいいよ全員。いつづけると動くの面倒になるよなぁとか思った。章が変わると登場人物の説明が改めてあったりしてなんでだろって思った。フィリピンの子がなんか良かった。2025/09/19
boichi40
1
人の居場所はどうやって見つければいいんでしょう。今いる場所を居場所だと思えばいいんでしょうか。2025/06/11