内容説明
人も町も伝統も、変化しながら生きていく。今の時代の優しい近郊小説。――瀧井朝世(ライター) 未来を照らすのは受け継がれる心意気。温もり溢れた人生賛歌の物語! ――内田剛(ブックジャーナリスト) 後継者不足に悩む老舗人形店に、外国人の若い女性が弟子入り志願!? お人好しな若社長は、仕事に恋に大奮闘! 亡き父のあとを受け、森岡恭平が社長を務める森岡人形は、低迷する売上、高齢化した職人の後継ぎ不在と、問題が山積。さらに恭平自身の婚活問題も難航しており……。そんなある日、職人たちが足繁く通うパブで働くクリシアというフィリピン人女性が、社屋を訪ねてきた。職人の一人が、酔った勢いで「俺の弟子にしてやる」と、彼女に約束したと言うのだが……。笑って、泣いて。読みどころ満載のハートフル・ストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
166
相変わらず未知の世界のお仕事小説と爽やかな人間ドラマを見事にミックスさせたナイスな作品は山本さんならではかと。今回は雛人形作成の世界に迫りつつ、その職人芸をあますことなく、わかりやすく描写する術はもはや山本さんしか書けない匠の技です。家業を継ぐ八代目こと「恭平」は40手前の独身。高齢の職人達に囲まれながらもなんとか会社を切り盛りしています。そんなトキ、フィリピン人の女性が「弟子にしてほしい」と突然訪れてきて事態は思わぬ方向へ。さりげなくスポーツ青春ネタとしてボート部も盛り込むあたりに爽やかさが増します。2022/01/29
あすなろ
124
さいたま市の雛人形造りをモチーフに描かれた連綿と続く雛人形造りの会社や地方都市、そして登場人物達を描く。雛人形造りに興味ある方は是非。そして、この雛人形造りも職人の後継者不足に悩んでいるのであるが、近年の作品らしく単純に後継者不足に悩むだけでなく、悩みの内容、或いは悩みながらも継いだ者の事も描かれていてその辺りがこうした種の作品も少しずつ変化してきたなと感じた作品でもあった。ただ、本作はそうした堅いビジネス的小説というよりは、柔らかめのヒューマンなハートフル的要素も負けず劣らず入れられているのである。2022/03/06
ジュール リブレ
98
雛人形の老舗、江戸時代からの180年企業の跡継ぎ。地元高校のボート部キャプテンでインターハイ選手。モテまくった高校時代はもはや遠く、今は自分以外、平均年齢が後期高齢者という危ない会社。小さな人形の街の濃い人間関係。そんな設定からお話はスタート。コンフィデンスマンJPノベライズを手がける山本幸久さんらしいお話(追記)さいたま岩槻の鈴木人形さん監修。アニメの世界にも進出。とのこと。老舗の時代への挑戦、楽しみです。 https://www.facebook.com/suzukidolls/2022/01/22
ゆみねこ
97
老舗人形店の八代目の森岡恭平37歳。若くして会社を継ぐ事になったが伝統技能を受け継ぐ後継者は不足し、売り上げ低迷に悩む日々。人柄の良い恭平を応援するような気持ちで読みました。この時期に雛人形職人の物語を読めて良かったです。2022/02/15
紫 綺
97
やっぱり山本幸久作品が大好きだ‼️ず~っと追っているが、ハズレなし!ってか私にとっては当たりばかり。雛祭りに近いこの時期に、雛人形造りのお仕事小説が読めてよかった‼️2022/02/06