内容説明
「禍津神(まがつかみ)」――それは人の怨念や未練を喰らい成長する悪神。古に生まれ出でたそれは、泰平の世となれども、未だ人々の脅威として存在し続けていた。そんな禍津神を狩る「神狩(カガリ)」を生業とする征十郎は、ある戦いの折ひとりの女性・フィーアと出会うことになる。だが、その時彼はまだ知らなかった。この出会いが、世にふたたび乱世を招く呼び水となることに――。
そう、この時代は「江戸」。しかして魑魅魍魎が蠢き、人智を超えた「魔術」が、叡智を重ねた「科学」が浸透する偽りの「穢土(えど)」なり。正しき時代を、文明を取り戻すため、数多の偉人による絶戦(ラグナロク)が、始まる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
56
和風ファンタジー。とはいえ時代は「江戸」で、出てくる用語が時代小説っぽい。その上で「科学」や「魔術」が出てくるしサイボーグや獣憑きが世界を行き交う。要は時代劇をベースになんでもありな世界観を作り上げたというところ。あとはひたすら「神狩」を生業とする征十郎のアクションシーンの連打。獣憑きの小夜と機巧人形のフィーアとチームを組んで戦うので、コンビネーションを出そうとしている感じ。あまりにアクションが多いので、疲れはするものの、ここまで徹底する作風はやはり屹立したものに思う。上巻でこれだから下巻はどうなるのか?2022/02/08
よっち
30
魑魅魍魎が蠢く魔術と科学が浸透する偽りの穢土。人の怨念や未練を喰らい成長する禍津神を狩る神狩の征十郎と小夜が、ある戦いの折に機巧人形フィーアと出会う江戸ファンタジー。征十郎たちが倒した禍津神の中から発見されたフィーア。彼女と行動を共にしながら、投獄された仲間を助けに行く過程で明らかになってゆく、優良資源として禍津神独占を狙う東印度会社や、幕府転覆を狙う由井正雪の存在。小夜とのコンビは誰かと会うたびにバトルに発展する殺伐とした世界観でしたけど、フィーアもまた何らかの事情を抱えていてこれは続巻が楽しみですね。2021/12/28
しぇん
26
ラグナロクはどうなった……?と心底おもってしまいますが、読了。日本をモチーフにしたハイファンタジーで、バトルシーンの濃さは流石の安井先生。十兵衛とか強そうなネームドキャラが名前だけ出ているので、後編で出てくるのか気になります2022/01/02
ひぬ
25
江戸時代を土台に描かれる何でもありなファンタジーアクション作品。禍津神を狩る「神狩」として生きる主人公・征十郎。ある戦いの終わりに禍津神に飲み込まれていた女性・フィーアを助けた事によって穢土全土を巻き込む戦いに引き摺り込まれます。バトルシーンが混雑していたせいでかなり読み難いと感じてしまった部分もありましたが、血みどろなアクションものとしては面白かったです。今のところフィーアの影がかなり薄いですが、そこは次巻に期待。2022/03/01
のれん
20
『ナグナロク』から一切変わらない圧倒的戦闘描写。 ひたすらにバトルな物量感がこの作者の魅力である。 江戸時代前期たる慶安の世(家光から家綱の時代)が舞台で小道具の名前が結構徹底されており(注釈すらある)、実在の人物も歴史観を踏まえつつ山風作品のような豪快なキャラに仕上がっている。 主役は案の定、豪快なキャラに輪をかけてかっ飛ばすのだが幾分か話が通じる。そのせいか片ヒロインの小夜がどつき漫才しながら柔らかくデレる。これが可愛いのなんの。 ついにこの作者に美少女ヒロイン爆譚か?(笑) 注目したいシリーズ。2021/12/26