内容説明
「夏になると女の人の声にひびきがはいり,張りを帯びてうつくしくなる」.声,二の腕,あくび,死顔,そして蛇.齢六十を超えた作家が抱き続ける「女ひと」への尽きぬ思い.美男というにはほど遠い自分が女性の麗しさから離れられぬ哀しみとおかしみを軽やかに綴る.晩年の犀星ブームを導いた豊潤なエッセイ集.(解説=小島千加子)
目次
女ひと 序┴えもいわれざる人┴為すなきことども┴手と足について┴童貞┴二の腕の美しさ┴映画の中┴季節の声┴詩のあわれ┴君は一たい何を言っているのだ┴廃墟の学問┴情婦を拾う┴君が墓べに┴明治の暮雪┴さらばえる┴くちなわの記┴解説