ちくま新書<br> コロナ政策の費用対効果

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ちくま新書
コロナ政策の費用対効果

  • 著者名:原田泰【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2021/12発売)
  • GWに本を読もう!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~5/6)
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  • ISBN:9784480074492

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内容説明

人と人との接触を完全に断てばコロナウイルスに感染しないが、それでは経済・社会・生活の基盤が崩壊する。それらの維持と感染源との遮断、医療体制の整備といった政策を総合的に組み立てていくにはどうすればよいか。PCR検査、緊急事態宣言、医療提供、給付金や休業補償などをめぐるコロナ政策の費用対効果を数量的に分析。より効果的に人々の命を救い、経済の犠牲を少なくする方法があったかどうかを検討し、多岐にわたる政策の当否を検証。今後あるべき政策を提言する。

目次

はじめに
第1章 日本の対応の概括的評価
1 新型コロナ感染者数の国際比較
主要七カ国と比較する
アジア太平洋の先進国と比較する
2 入国禁止措置の遅れ
出遅れた水際対策
国境検疫は十分だったか
入国管理は効率的な隔離策
完璧な検疫のコスト
3 「日本モデルの成功」論
日本モデルとは
ファクターX
二〇二〇年夏にかけて盛んになった交差免疫説
二〇二〇年八月の安寧
4 コロナ感染症と経済成果
先進国との経済回復率比較
本章のまとめ
第2章 感染症対策専門家会議と政府の関係
1 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の設置
政府の「基本方針」と専門家会議の「見解」
一斉休校とアベノマスク──専門家会議との齟齬
目に見えるコストは低い
3密(密閉、密集、密接)対策
2 SIRモデルと四〇万人死亡説──「八割おじさん」西浦教授
「接触八割削減」
コラム1SIRモデルは予測には役立たないがワクチンの効果は推測できる
3 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」
専門家会議の提言
提言の強さと弱さ
4 専門家会議が前面に出すぎ
尾身氏の「前のめり」の発信
医務技監は出て来ない
5 指定感染症二類の指定は正しかったのか
二類指定への批判
指定水準を落とせばよいのか
6 東京オリンピック開催
尾身の乱
尾身提案は国内感染を重視
不思議な「著者なし、論文なし」分析
オリンピックでの検疫は通常の検疫よりも難しい
オリンピック自体は大成功
本章のまとめ
第3章 PCR検査のスンナ派とシーヤ派
1 PCR検査についての事実の確認
PCR検査の「目詰まり」
感染症学者はスンナ派だった
2 日本のPCR検査数を先進国と比較する
圧倒的に少ない日本の検査数
感染者取りこぼしの可能性
3 検査増大の主張
現場の医師からの批判
4 クラスター対策への固執とPCR検査の拒否
日本独自政策への固執の謎
行政は費用と効果を考えて仕事をしない
5 スンナ派の主張の再検討
PCR検査は信頼できる
二〇%と八〇%論
クラスター対策の費用
6 デジタル敗戦とCOCOAの失敗
COCOA失敗の原因
デジタル敗戦は何をするかが分かっていないから
7 シーヤ派の主張の二つの論点
皆保険の国の国民は納得できない
接触八割削減こそとんでもないコスト
感染症を社会全体で抑えるための論点
コラム2精度、感度と特異度、PCR検査、抗原検査、抗体検査の意味
PCR検査によって接触六割減の世界が実現する
感染者を六割隔離できた世界のイメージ
一・一兆円をかける価値があるか
本章のまとめ
コラム3世田谷区の一斉PCR終了へ
第4章 緊急事態宣言の効果
1 緊急事態宣言の発出
四度の緊急事態宣言
まん延防止等重点措置
2 緊急事態宣言と感染者数と人出の推移
人々の恐怖が人流を抑えた
発出と解除のタイミング
緊急事態宣言の効果の国際比較
3 緊急事態宣言と休業等への支援措置
幅広い支援対象業者
休業支援額
4 ゼロコロナ対策で解決できるのか
ゼロコロナは不可能
ゼロにした後も対策は必要だ
感染者の増加レベルを抑える意味はある
ハンマー&ダンス
本章のまとめ
第5章 医療資源の動員体制、医療崩壊の忌避、病床不足
1 医療資源の国際比較
日本の医療資源の国際比較
人工呼吸器などもある
2 日本の医療はなぜ対応できないのか
コロナのために動かせない医療資源
国立大学の病院ですら動員できない
政府は医療体制の強化に動く
実は医療資源には余裕がある
ワクチン接種にかかる医療資源
3 医療体制の拡充、治療法の確立と治療薬の開発
医療体制の拡充予算
致死率はどう動いたか
入院治療を要する者の増加
コロナ以外の医療需要の減少でコロナ対応の医療資源を動員できる
自宅療養と「野戦病院」
なぜそんなに費用がかかるのか
治療法と治療薬
本章のまとめ
第6章 ワクチン敗戦
1 ワクチンの実際
ワクチンの種類と有効性
ワクチン効果の実際
2 日本のワクチン入手と接種の遅れ
ワクチン接種を躊躇した厚労省
接種はインフルエンザと同じようにできる
なぜ接種が大変だという話になるのか
接種体制構築のミス
接種証明を行動自由のパスポートに使おうとしなかった謎
3 ワクチン接種費用──購入費と接種費
これほどお得な買物はない
購入費も接種費もやや高いようだ
4 国産ワクチンは良いことばかりではない
効果の劣るワクチンを押しつける中国
中国のワクチン外交は二〇二一年まで
中国もmRNAワクチンを作る
5 コロナ対策の費用対効果分析のまとめ
大きかったワクチンの費用対効果
本章のまとめ
第7章 コロナ不況の本質
1 ケインズ的、ナイト的状況
大胆な金融緩和政策とコロナショック
ナイト的状況をもたらす
2 財政赤字は拡大するしかない
企業の赤字とは何か
政府の赤字はなぜ悪いのか
3 コロナ不況はサービス業不況
通常と逆の経路の不況
本章のまとめ
第8章 不況対策の混乱
1 一律給付になった理由
現在の所得が把握できない
困っている普通の国民とは誰か?
バラマキは政府の巨大支出より賢い場合が多い
2 GoToは失敗
旅行外食需要をかえって減らしたGoToキャンペーン
人の移動自体が感染者を増やすわけではない?!
リベンジ消費で必ず回復
3 雇用調整助成金と失業者減少
失業を抑制した雇用調整助成金
雇用維持は常に良いことか
4 コロナ対策予算の検証──赤字より支出の中身を考えるべき
人々が支出をしないことが問題
七七兆円の予算を何に使ったのか
コロナ予算の不合理
5 日本のコロナ対策支出を検証する──国際比較
ここでのコロナ関連予算の定義
感染者数と対策予算の関係
感染者数と実質GDP成長率の関係
本章のまとめ
終章 日本政府の組織論的な欠陥
より広い視野と対応策が必要だ
コロナ禍と政治と行政
欠けていたケインズの精神
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅー

6
★★「病床の確保」がこんなにコストパフォーマンス悪かったのか、というのが一番の驚きであった。またPCR検査に関するモヤモヤを晴らしてくれる分析がよい。政策の目標や、それを考える上での前提が、それぞれの関係者の頭の中でそろっていなかったこと、省庁の枠組みを超えたビッグピクチャーを誰も描けなかったこと(正に政治の役割!)が反省点なのかな。日本が特別に政策を誤ったとは思わないが、他国に誇れる成果を達成できたわけではなかったことは記憶しておこう。なお、著者はケインズ主義者(たぶん)なのでバラマキには比較的寛容だ。2022/09/12

西澤 隆

6
後知恵でも検証は大切だという序文とともにはじまる本書。その視点でやってくれるならとかなり期待して読みはじめた。しかしPCR検査の「スンナ派とシーヤ派」のような揶揄も多く、それぞれの政策には相当に彼の個人的な意見が重ねられ、出てくる数字の取り扱い方は恣意的であまり説得力がない(例えばコロナ対応医療費の予算を割り当てられたベッド数で単純に割ったり、ワクチン接種費用を接種回数で単純に割ったりしての「高い、安い」など)。「製作の費用対効果」をもっとファクトとして説得力ある数字で説明してくれる本だと良かったのにね。2022/01/07

Go Extreme

3
日本の対応の概括的評価: 入国禁止措置の遅れ 「日本モデルの成功」論 コロナ感染症と経済成果 感染症対策専門家会議と政府の関係 専門家会議が前面に出すぎ 指定感染症二類の指定は正しかったのか 東京オリンピック開催 PCR検査のスンナ派とシーヤ派: デジタル敗戦とCOCOAの失敗 シーヤ派の主張の二つの論点 緊急事態宣言の効果 ゼロコロナ対策で解決できるのか 医療資源の動員体制、医療崩壊の忌避、病床不足 ワクチン敗戦 コロナ不況の本質 不況対策の混乱 日本政府の組織論的な欠陥: 欠けていたケインズの精神2022/01/25

数太郎

1
コロナ対策に関する包括的評価。本来、国(国会?会計検査院?)がやるべきことと思うが、原田氏は個人でやってのけた。旧経企庁出身の官庁エコノミストで、日銀政策委員経験しておられる同氏ならではの職人技。想像どおり、非効率と無駄のオンパレードで、失笑を禁じえない出来事も満載です。まさに「日本政府の組織論的欠陥(本書最終章)」があぶり出されている。真剣にこの反省を活かさないと、次回危機到来時、日本滅亡かも…。2025/01/25

takao

1
ふむ2023/07/07

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