哲学の蠅

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哲学の蠅

  • 著者名:吉村萬壱【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 創元社(2021/12発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784422930909

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内容説明

人間の根源的な部分を抉り出し、現実への違和感を物語に託して世に放つ異端の小説家吉村萬壱がデビュー20年の節目に著す初の自伝的エッセイ。幼少期の鮮烈な体験と母親の存在は著者の人間形成に決定的な役割を果たすが、やがてそれに対抗する力として文学や哲学に傾倒してゆく。著者の血肉となった広義の哲学書を取り上げ、それらと創作との結び付きを考えながら、読むこと、書くこと、ひいては生きることそれ自体の意味を問う。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

33
これはとんでもない名著で、現代にこれだけ身銭を切ってくれる作家がいるという事実ですでに嬉しくなる。被虐の記憶が連綿と繋がる生と性の記述。奇想から取り出される哲学の、明晰な筆致がすばらしい。私が私として生きる/書くこと、私の根底に横たわる物語と、そこに潜む闇、暴力、そして蠅の存在について、想いを馳せる。2024/10/30

おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ

26
母が癌になった。入院やら治療やらと、ほぼ毎週6時間かけて実家へ行き、病院まで往復4時間、それからまた帰るのに6時間と、ひたすらに車を運転しているのだが、これまでにも何度か母が大病を患うたびに、私は己れの虚勢に満ちた人生に抗いようのない現実を突き付けられて、真人間になろう、真人間になろうと念仏を唱えては激しく昏倒、どうやら祈祷の効能は薄く時間は容赦なく過ぎ、世のありとあらゆるものは変化し、目は霞み、亀頭は萎え、それでも尚しかし、愛・不変・真実・尾崎豊、と書かれたお札を全身に貼りたくって、またアクセルを踏む。2022/06/20

Tenouji

18
なんとなく、嫌な読感がありながらも、一気読み。本質的には著者の母親のあり方が気になった。医者に良く思われようとするのは、まるで私の父親のようであったw。2024/02/29

spatz

14
巻頭と巻末に、死んだ鳩をくらう蝿と蛆虫が句読点なしの文章で描かれる。巻頭と巻末に、ご本人が描いたという蝿がとまっている。読むのにとてもとても時間がかかった.時間をかけた.時間をかけるに値する本、意味がわかるとか筋をおうとか、そういうことをしない本を久しぶりに読んだ.エッセイとなっているが、とても濃い深淵な文学作品を読んだ気がする。この人の書いた本をとても読みたくなった。何から始めようか。母との葛藤。自分の中にある狂気のようなものへの希求。オカルトへの耽溺。哲学。読書。書くこと。#NetGalleyJP 2022/02/02

なつのおすすめあにめ

7
芥川賞作家の吉村萬壱氏による自伝的エッセイ。9割時系列で著者の人生を辿る事ができる。しかし自分は吉村氏の小説を一作も読んだことがない。なぜか最近になって特に何のきっかけもなく名前を知ったくらい、なのだが、不思議な事に自分の興味のある界隈でも名前を見るようになり(バーダー・マインホフ現象らしい?)、タイトルも興味深いこの本から入門することに。「読書と言うより頁の上を一匹の蠅となって飛び回っているようなものである」というタイトル伏線回収のような一文で、読んでよかったと思えた。自分もそう思うからだ。蠅、なのか。2024/08/18

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