内容説明
チーム信長の成功譚。
そこから見えてくるのは、信長のリーダーシップだ。
――作家 伊東潤氏、推薦!
生き馬の目を抜く戦国の世――国は荒み、民百姓は飢えていた。
「俺に力を貸せ! この地獄の世を、新しき天下に変えるのだ」
天下静謐の理想に燃える大うつけの信長だが、常に国境を敵に脅かされ、その貧弱な兵力では尾張統一すらままならない。小豪族の集合体である尾張は、重石となっていた信秀の死後、力の均衡が崩れて無法地帯になりかかっていた。
やがて織田弾正忠家の家督を巡り弟・信勝が謀反との報せが届くが……。
涙もろく情に厚い、若き日のまったく新しい織田信長を描く傑作歴史長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マツユキ
11
信長主人公の作品は意外と読んだことがないかも。戦乱の世、うつけと呼ばれる信長は、天下静謐の理想を抱く、涙脆く、情に厚い男だった。信長は、色んな人の話を聞き、自分の中に取り入れ、何倍にもできる人。スケールが大きくて、見ているものが違うんだな。敵にしてしまったものが、可哀想に思えてしまう程でしたが、信長側のダメージも毎回大きい。別れが壮絶。続編決定だそうですが、後の有名なエピソードはどう描かれるのが、気になります。2021/12/27
coldsurgeon
4
織田信長の若き頃、弟・信勝を討つまでの大うつけ時代を描いた、読んだことがないような物語だった。織田家の棟梁となり、どのように尾張の地と民を治めようかともがく姿が、魅力的に描かれる。国造りの先の姿を、天下静ひつ、国境も、戦争もない日本を造り出そうと、仲間を引き寄せ、チーム織田信長を生み出す。将、リーダーの器は、そこに満たされる志の大きさによるとすれば、信長はやはり、とびぬけて大きな器を持っていた。信じすぎるが故に、後には裏切られることが多くなるのだが、人を信じることが、行動力につながったのは、間違いない。2022/06/22
コウ
1
織田信長のイメージって、日本人の中である程度出来上がってしまっているため、この作品を手に取る人がどれだけいるのだろうか。ぜひ読んでほしい、と思ってしまうほど魅力的に描かれています。この作品の中の信長がこれからどう成長していくのか、どう変貌を遂げるのか。もしかすると、これから、これまでのイメージの信長になっていくのか。続編を期待しています。2023/09/18
Y...
1
初めての作者ですが、読みやすく面白くて一気に読めました。若き信長で弟の信勝(信行)を謀殺したところで終わっている。2021/12/26
恵美
1
信長の若いとき、吉乃との馴れ初めや信勝との葛藤、尾張国内の戦いをじっくり描いた作品は珍しいのではないか。でも、文章が入りにくい。一行空けもせずに別の人物の内面が描かれるから誰視点で読めばいい箇所なのか混乱した。2021/12/13