内容説明
国際情勢を揺るがす反体制派指導者と国家権力の攻防!
ロシア当局が命じたとされる毒殺未遂事件、療養先から帰国直後の拘束――その安否が国際的な注目を集めるロシアの反体制派指導者ナワリヌイ。何度も拘束されながらも強権的なプーチン政権を揺さぶってきた活動家は、いかにしてクレムリン最大の脅威となったのか? 英雄視される一方で煽動家、差別主義者とも呼ばれるその実像とは? プーチンがいまなお恐れつづける男の反汚職および抗議活動家・政治家としての姿を通してロシアの奥深い闇と複雑な社会構造を抉り出す迫真のノンフィクション。
〈内容〉
第1章 アレクセイ・ナワリヌイとは何者か?
第2章 反汚職活動家として
第3章 政治家の誕生
第4章 抗議者として
第5章 クレムリンVSナワリヌイ
第6章 ナワリヌイとロシアの未来
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yomineko@猫と共に生きる
69
プーチンの政敵・ナヴァリヌイ氏詳解✨長身イケメンブロンドで若く見栄えのする彼(本書より)。プーチンは気にしていない風を装いながら実は相当腹に据えかねている様子。ノビチョクによる毒殺未遂にも知らん顔。国営テレビに出られないにも拘わらず知名度が高く、特に若年層からの人気が高い。(のにも腹を立てているに違いない)超豪華プーチン宮殿をドローンで撮影して暴露、汚職も許さじという姿勢に共感するも、彼の身辺がとても心配😢最近、禁錮がまた延長され、今度は9年になってしまったし😨また毒を盛られないかとハラハラです💦2022/04/03
Isamash
30
独ブレーメン大博士研究員ヤン・マッティ・ドルパウム、英ケント大博士候補モルヴァン・ルエール、及びカレッジロンドン助教ベン・ノーブルの2021年著書訳本。毒殺されかかった事件で有名なヌワイヌイ氏が何故、投獄等予想される中敢えてロシアに戻ったのか?その重い決断の理由を知りたくて本書を読んだ。残念ながらその答えは書かれてはいなかった。西側では一般的に反プーチンの中核的な人物のイメージが有るが、本書を読むと、成り行きで政治家になり、政治的主張は明確にしておらず、ナショナリストとリベラリストの両面を見せてるらしい。2022/06/14
紙狸
22
原著(英語)は2021年刊行。邦訳も同年に出版された。独英に拠点を置く研究者3人の共著。ナワリヌイについて、1976年の誕生から2021年のロシア帰国・収監までカバーする。紙狸が知りたかった2点のうち1点は満たされた。2014年のロシアによるクリミア併合へのナワリヌイの対応だ。クリミアは「暴力で強奪されたとはいえ、いまとなってはロシア連邦の一部だ」と発言した。もう1点の疑問は、なぜ収監されると分かっていながらドイツからロシアに帰国したか。この動機は分からない。NHK安間英夫氏による解説は簡潔でよい。2024/01/19
BLACK無糖好き
20
プーチン宮殿の動画公開、毒殺未遂事件、帰国直後の拘束と、ロシアの反体制派指導者として世界からも注目されたナワリヌイ。独・英の研究者がこの人物の政治活動とその実像を多面的に分析。反汚職活動が原点にあるようだ。ロシアの権威主義的独裁体制を民主主義体制に置き換える目標を持っている。その一方で、活動家内部ではナワリヌイ自身も独裁的だと見なされている。移民についても人種差別的な言動も見られるように複雑な政治家との一面もある。◇反体制活動に対するクレムリン側の対応の推移。ここも本書のポイント。2023/01/17
スプリント
11
汚職を追求し、政治家となり、抗議者として活動し収監される。 独裁を引くプーチンを苛立たせる男ナワリヌイの半生記です。2021/12/31