内容説明
灼熱の夏、彼女はなぜ幼な子二人をマンションに置き去り
にしたのか。
追い詰められた母親、死に行く子供たち。
無力な受難者の心の内は、フィクションでしか描けない。
圧巻の筆致で、虐げられる者の心理に分け入り、痛ましいネグレクト事件の深層を探る。
本当に罪深いのは、誰――。迫真の長編小説。
〈巻末対談〉春日武彦・山田詠美「子どもたちを救う道はどこに」収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
99
大阪2児餓死事件を題材にしたフィクション。エイミーに外れなしと思ってたけど、これはないなあ。愛情をかけられていない生育歴や知識の欠落を書くことで、母親だけを責めてもどうにもならないよということを言いたかったんだろうけど、三世代の女が書かれ、不幸が続いてるさまを読ませる構成なんだが、虐待がちっともリアルじゃなくて、むしろ母親が後で知り合った男としみじみ幸せになる所にフォーカスが当たってる感じで何を読んでるんだろというか、時間の無駄というか、読む価値あるのは最後の対談だけだった。杉山春さんのルポがいいだけに…2022/03/12
あきら
53
読み進めるのがとても苦しく、重たい話でした。 たしかに他人事とは思えない。 世の中色んな情報がありすぎるから、表面上の出来事しか攫わなくなる。裏側の物語が丹念に描かれています。 インパクト大。2021/10/09
ピロ麻呂
43
大阪2児餓死事件がモチーフの作品。このニュースを初めて知ったとき、激しい憤りを感じたことを今でも思い出します。この作品を読むと、子供をネグレクトした母親にも色々な事情があったのだとは思います。それでも、幼い子供たちを苦しませ、死なせた罪は重い。唯一頼れる母親に見放された子供たちは、どんな思いで50日間を過ごしたのか…もう二度と同じような事件が起こらないように祈るばかりです。2021/11/04
Shoji
41
物語前半はモラルも教養も収入も何もかも低い、どうしようもない人たちのどうしようもない物語だと思って読み進めていた。後半に差し掛かり、物語の核心に入って行くにつれ、とてつもなくずしりと重たいお話だと気づかされた。風俗嬢がホストに入れ込んだ挙句、育児放棄で幼い子を死に至らしめてしまう。そこに至るまでの殺伐とした精神、出自、血筋や血統がこれでもかと書かれている。久しぶりに読み応えのあるヘビーな一冊だった。2021/11/13
ゆきらぱ
37
重く苦しいテーマでしたが、素晴らしい内容で読んで良かったです。巻末の春日武彦氏との対談も良かったです。この苦しいストーリーが終わりに近づく頃に私は本質に触れたような気がします。(間違っているかもしれませんが)それは人間は、被害者の時には謂れのない罪悪感を抱き、逆に人を痛めつけ加害している時にこそ被害を受けている気分になるのでは?という恐れです。この的外れともいえる感覚のズレが悲劇を生むのかもしれないし、反省の難しさがあるのではないのでしょうか。2021/10/26
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