国家の社会学

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国家の社会学

  • 著者名:佐藤成基
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  • 青弓社(2021/11発売)
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  • ISBN:9784787233806

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内容説明

そもそも「国家」とは何なのか。
国家とはどういう集団で、どういった機能をもち、社会や経済、政治、私たちの生活とどういう関係にあるのか。「国家とは何か」という基本的な疑問からナショナリズム・社会福祉・グローバル化といった現代的な課題までをレクチャーする概説書。読書案内つき。

目次

はじめに――なぜ、「国家」なのか

第1章 国家とは何か――その能力と作用
 1 国家の能力
 2 国家の作用
 3 「悪魔との契約」

第2章 国家と暴力
 1 暴力と法的秩序――マックス・ヴェーバーの国家論
 2 「文明化」と暴力
 3 暴力は野蛮か

第3章 国家と官僚制
 1 「合理的支配」としての官僚制
 2 官僚制と国家形成
 3 官僚制の限界

第4章 国家と戦争――国家形成における軍事的・財政的要因
 1 戦争と国家形成――チャールズ・ティリーの歴史社会学
 2 徴税と国家形成
 3 国家の集権化――「間接統治」から「直接統治」へ
 [補論] 「軍事・財政モデル」への批判

第5章 国家と正当性――「象徴暴力」と公共性
 1 国家の正当性
 2 象徴暴力としての公共性
 3 官僚制国家と公共性――ピエール・ブルデューの歴史分析
 4 もう1つの公共性――官僚から「民」へ

第6章 国家と社会――社会の「国家帰属化(ルビ:ナチュラライゼーション)」
 1 「国家と社会」という問題
 2 市民生活への介入――軍事国家から民事国家へ
 3 社会の「国家帰属化(ルビ:ナチュラライゼーション)」
 4 領域国家から国民国家へ

第7章 国家と統計(学)
 1 国家の情報収集と管理
 2 統治技法としての統計(学)

第8章 国家とナショナリズム
 1 ナショナリズムの発生――国家論的説明
 2 ナショナリズムと国家の正当化
 3 国家とエスノ文化的異質性

第9章 国家と資本主義経済
 1 国家と資本主義経済
 2 マルクス主義の国家論
 3 資本主義国家の発展――国家の「相対的自律性」
 4 資本主義国家は「資本家階級のための国家」なのか
 [補論] 父権制国家論について

第10章 国家と民主主義
 1 「民主主義的な国家」とは何か
 2 民主主義のなかの国家――戦後アメリカの政治学理論
 3 国家の能力を再考する――チャールズ・ティリーの民主主義論

第11章 国家と社会福祉
 1 福祉国家の登場
 2 福祉国家はなぜ発生したのか――3つのアプローチ
 3 社会福祉制度の拡大
 4 第2次世界大戦後の福祉国家

第12章 国家のグローバル化
 1 国民国家の波及――ローカルからグローバルへ
 2 国民国家の制度的同型性――新制度主義の視点
 3 土着化の困難

第13章 脱植民地化と「崩壊国家」――アフリカ国家論の観点から
 1 アフリカの「新家産制国家」
 2 植民地国家からポスト植民地国家へ
 3 「アフリカ」という要因

第14章 グローバル化のなかの国家
 1 国家の「後退」?
 2 国家再考――グローバル化論批判から
 3 国家は消滅しない

第15章 国家の現在、国家の将来
 1 「国家の変容」研究――機能から国家を問う
 2 グローバル化とセキュリティ不安

おわりに――多形体的実在としての国家

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

masabi

16
国家を社会学の知見からまとめたもの。国家とナショナリズムの関わり、国家の定義など筆者のオリジナルというよりは概論であり、より深く学びたい人に読書案内がついているのでありがたい。英語が読めると読書の幅が広がると思うと悔しいものがある。すべてが翻訳されるわけでもない。2015/02/12

かんがく

14
「国家」をテーマに、資本主義、民主主義、グローバル化、社会福祉、戦争など幅広い内容について学説を整理しており、これ一冊で国家を巡る議論にある程度理解を深めることができる。読書案内なども付いていて教科書としても使えそう。2024/04/07

politics

6
国家を、暴力の独占的行使、資源の強制的徴収及び再分配機能、上記二つを正当なものと承認させる能力を持つものと定義し、ナショナリズム、社会福祉、グローバル化などとの関連を考察した好著。特に国家と戦争の章は勉強になった。また本邦ではしばしば「国民国家」虚構論の議論が多く見られるが、著者はあくまで国家を「独特な実在」と捉えている点も注目に値する。著者も述べられている通り日本への言及はあまり無いが、本書を利用すれば日本への分析にも大いに利用可能だろう。2021/01/09

ぽん教授(非実在系)

5
意外にも類書があまり見当たらない、国家を社会学的議論の教科書。福祉やグローバリゼーション、統計化やマルクス主義などをこうした切り口で読むことはあるが断片的になりやすいので、整理に大変役立つ。教科書的に穏当な概説だがテイストがないわけではなく、著者は新自由主義とマルクス主義には懐疑的な印象がある。2020/05/06

Hisashi Tokunaga

3
国家論を社会学という立場で丁寧に記述した15章仕立ての純教科書風。随所に著者の見解が挟み込まれて初学者には非常に有益な書ですね。2015/02/08

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