内容説明
国民的ベストセラー『失敗の本質』の共著者が教える安全保障の極意。台湾侵攻の有無や「五族」と中国の夢、日本の「核心的利益」が次々と明らかに。「日本への核威嚇は機能しない」「尖閣で中国は法的に勝ち目なし」「中国が台湾を先制攻撃すれば、戦争を避けるために独立宣言しないという台湾の政策は無意味になる。したがって、中国が台湾を攻撃すれば、直ちに台湾は独立を宣言するであろう。台湾が独立国家ならば、中国と台湾の戦争は国家間の戦争ということになり、中国が主張する『台湾問題は中国の国内問題である』という主張は通用しなくなる」「日中戦争時、中華民国総統であった蒋介石は『日本軍の侵略は皮膚の病だが、共産主義は内臓の病だ』と言った。今の中国共産党にとり、日中対立は『皮膚の病』かもしれないが、国内の民族主義は深刻な『内臓の病』である」。戦争の本質と民族の本質に立脚し、誰も指摘しえなかった視点から日中の力の関係を論じる一作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
古本虫がさまよう
5
500年前の戦国時代、日本はかなりの銃を持ち、当時の大国スペインなどもフィリッピンのように日本に侵攻して支配することはできなかったと指摘している。だからこそ、江戸時代の「鎖国」が可能だったと。「非武装中立」ではなく、「武装中立」の「鎖国」を長年維持できたわけだ。しかし、その間、欧州などは戦争を繰り返し、その「成果」として軍事技術が向上。一方、日本は鎖国で平和を維持できたものの、その間の軍事技術の進歩にはあずかれず、江戸末期の危機を迎えたわけだ。そういう歴史の教訓から「日中危機の本質」を読み解いた書。2021/12/11