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内容説明
世に天才といわれる落語家は、何人かいたかもしれない。しかし凄みを伴った天才は、立川談志だけだ――。本書は立川談志18番目の弟子である著者が、正面切って挑む談志天才論。没後10年が経ち、談志の言葉の真意がようやくわかるようになってきた今、談志の本当の凄さに迫る。著者は談志の天才性を「先見性、普遍性、論理性」の三つに凝縮して分析。さらに独特の身体性や立川流を創設した理由、師匠談志と志ん朝師匠のライバル関係などについて論じる。後半では「談志は談慶をどう育てたか」と題し、入門後二つ目に昇進するまでを振り返る。後輩の談生(現・談笑)が自分より先に二つ目に昇進した悔しさ、談春兄さんと志らく兄さんの話、妻からの衝撃的かつ的確なアドバイス……。通常4~5年とされる前座業を9年半経験してようやく二つ目に昇進した男が、自らの苦悩や師匠を疑問視した日々をさらけ出し、その上で「師匠こそがハートウォーマーだった」と語る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nazolove
17
師匠、いまさらながらこれ感想文書き忘れてました(笑) さておいて再読。 もう師匠の本をほぼほぼ網羅していた私にはあーこれ書いてあったわぁの連続であった。 そして今作は過去数十冊書いてあった内容のおさらいというイメージで読ませていただいた。 私自身も家元の子供のころに使っていた何かあったらどうするんだ!と言われたらあったら言ってよ、を使わせてもらっている。(笑) そして第二部の師匠自身の歩み。 なかなか大変な人生で会った分、これからは飛躍しかないのではないかなと勝手ながら思うばかりである。2023/09/07
やまねっと
7
後半のワコールが前座から二つ目に上がるまでのドキュメンタリーが途轍もなく面白かった。ページをめくる手が止まらず、貪るように読んだ。プライドを捨て、後輩の談笑に教わる姿に涙が出た。談慶はプライドが高いんだろう。でも、談志の繰り出すときどきに変わる無茶振りと条件に応えるために奮闘する姿は誰にでも出来ることじゃない。前座修行に9年かかったが、今はちゃんと真打になったのだから、ワコールだった頃の談慶に今の頑張りは無駄でないことを伝えてあげたい。不器用なワコールに乾杯。2022/01/27
anken99
5
立川一門の談慶氏が、主に二つ目に上がるまでの師匠との日々を振り返る。二つ目に上がるまで9年とは、なんとも長すぎる下積み時代であるが、なぜ天才と呼ばれた談志が、弟子に無理難題を与えてきたのか、その深い部分に大いに感銘を受けた。エキセントリックな部分がヒューチャーされがちな談志ではあるが、身近にいた弟子だからこそわかる人間らしい部分も垣間見えて、今まで以上に親近感がわいた。2023/11/06
ワンモアニードユー
5
談志論は結構出ているが、談春や志らくといったメインどころではなく、前座9年という筆者が思いを筆に乗せているのでとても面白い。筆者も自賛しているが、凡百のビジネス書よりも、社会人は読んだほうがいいと思う。甘えの定義は秋霜を感じるが如く厳しい。我が身を振り返り反省しきり。2022/01/10
Shigenori
3
『落語の美的探究は志ん朝に任せて、自分は、国政挑戦やら、毒舌タレントやら、立川流創設やらと、キャラ化させ、外部に働きかけて落語会を外側から活性化させようとしていたのが師匠談志だったのではないかと思います。』通常4~5年と言われる前座業を9年半経験した著者が、その前座時代を振り返りながら、師匠である談志の天才性を語った一冊。自らのダメっぷりをさらけ出す、数多くのエピソード。それでも諦めずに叱り続ける師匠、支えてくれる奥様、支援者、友人、先輩後輩。これがまさに著者の”パーソナリティ”なんだろうなと感じました。2022/01/10