内容説明
人間の活動記録の積み重ねがアーカイブとなるが、ただ遺されて積み上げただけではゴミとなる。これらを整理し、長く遺せる環境を整え、誰もが閲覧できるアーカイブを残すためにかかわったボランティア活動を紹介する。
目次
第1部 災害国日本のアーカイブを救済する(大災害から歴史資料を守る―歴史資料ネットワークの活動
捨てるな!記憶より記録―ボランティアとともに釜石市の公文書救済
釜石市と陸前高田市での活動―全史料協の対応
ボランティアで、できることできないこと
紀伊半島大水害と資料の救出
除染する前にさわってはいけない―放射能汚染文書の除染マニュアル)
第2部 海外のアーカイブとボランティア活動(ジュネーブ市文書館の歴史と活動
第一次世界大戦時の補虜カード―赤十字国際委員会の仕事
国際連合のアーカイブ
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の仕事とアーカイブ・ボランティア)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
18
残す必要があると考えたものを保存し、残されたものがアーカイブ(1頁)。文化遺産、後世のための史料そのもの。陸前高田市の公文書を1まい1まい除塵するのは骨の折れる作業だと思う(2012年写真、59頁)。整理者の原則とは、未整理のアーカイブには非公開資料が多く、個々の資料の内容に対して個人的な興味をもってはいけない(75頁)。放射能汚染文書の除染(第6章)。 2014/09/26
Sanchai
4
文書を残すことの重要性を改めて痛感。記録文書を保存する作業におけるボランティアの活動に焦点を当てたという点ではユニークだが、参加しているボランティアが文書学、図書館学、情報学といった専門の方々で、僕達のような知見のない者が気安く参加していいものかどうかという点には、必ずしも応えてくれていないように思う。それと、本書は現存する資料の保存・整理に重点を置いており、離散している資料の蒐集におけるボランティアの活用にはあまり触れられていないのが残念だった。2014/12/15
かみのけモツレク
1
実用的な文面2014/08/03
シマヨウコ
1
アーカイブは過去だけでなく、今も綴られて行く記録であることを再認識。 保存と管理は予算や合理化という言い訳でないがしろにされやすいが、温故知新で情報や知識を得て活用するためには必要な手間である。失ってからでは遅いのだ。2014/07/29