内容説明
太平洋戦争の激戦地として知られるソロモン諸島ガダルカナル島は、21世紀の幕開けと相前後して新たな武力紛争「エスニック・テンション」に見舞われた。島の出身者同士も集団意識を共有せず、武装集団と島民との間に温度差があるために紛争に加担する度合いにも差が生じるなかで、贈与儀礼によって生存を確保するという特徴的な慣習も存在していた。彼らがどのように紛争処理を行ってきたかを分析したうえで、紛争後の社会再構築における最重要課題である和解と関係修復の経緯を論じる。戦争や暴力は非日常世界のものか?紛争下を「普通」に生き抜いた人々の生存戦略から、平和と紛争の共時的関係と紛争解決のダイナミズムを浮き彫りにする。
目次
序章 紛争に着眼した平和の人類学に向けて
第1章 平和の人類学とメラネシア民族誌
第2章 ガダルカナル島北東部の民族誌的概観
第3章 歴史の中のソロモン諸島
第4章 「エスニック・テンション」
第5章 紛争との関わり方
第6章 紛争処理の多様な試み
第7章 和解と関係修復へ向けて
終章 平和生成の共時的・通時的分析
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