内容説明
アーペルが提唱した超越論的語用論は、現代ドイツ哲学の「言語論的転回」を主導した。しかしその主眼である「究極的根拠づけ」という哲学的課題には、多くの批判が寄せられてきた。本書は論敵ハーバーマスからアーペルに向けられた批判に対して、フィヒテとの関連から応答を試みる。超越論的語用論の哲学史的な位置づけの修正、直面している問題の解決、現代的意義の解明に取り組んだ意欲作。
目次
第1章 超越論的語用論とは何か(超越論的語用論は何を扱うのか
方法的独我論、および抽象の誤謬という問題 ほか)
第2章 自己関係性―超越論的語用論のフィヒテ主義的性格(1)(根拠付けという観点とフィヒテ主義
知的直観として行為知 ほか)
第3章 「上昇」か「下降」か―超越論的語用論のフィヒテ主義的性格(2)(究極的根拠付けに対するハーバーマスの代案
アーペルによる反論 ほか)
第4章 無限界の理想的コミュニケーション共同体とは何か(統制的かつ(長期的には)構成的とはどういうことか
理想的コミュニケーション共同体と「目的の国」 ほか)