民事訴訟における法人でない団体の地位

個数:1
紙書籍版価格
¥7,480
  • 電子書籍

民事訴訟における法人でない団体の地位

  • 著者名:名津井吉裕
  • 価格 ¥7,480(本体¥6,800)
  • 大阪大学出版会(2021/11発売)
  • ポイント 68pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784872595697

ファイル: /

内容説明

法人でない団体が民事訴訟の当事者となる訴訟の理論的解明は、民事訴訟法学上の難問の一つである。本書は、日本が当事者能力概念を継受したドイツとの比較研究を通じて、権利能力等の実体法上の主体性概念のほかに訴訟上の主体性概念が生成するに至った前提条件を分析し、純訴訟法的な主体性概念の存在及びその意義、さらには日本の当事者能力概念の構造を解明することによって、当事者能力論が今後進むべき方向を提示する。

目次

569 民事訴訟における法人でない団体の地位
民事訴訟における法人でない団体の地位
まえがき
目次
第一章当事者能力概念の生成と展開
 第一節当事者能力概念の生成
  第一款はじめに
  第二款時代区分
  第三款用語法
 第二節生成期の当事者能力論の枠組み
  第一款前史-与件
  第二款普通法の展開
  第三款CPOの時代
  第四款小括
 第三節統一民法典と当事者能力
  第一款はじめに
  第二款民法典制定期の社会背景 -与件
  第三款社団法人制度と当事者能力
  第四款小括
 第四節おわりに
第二章当事者能力論の展開
 第一節はじめに
 第二節ZPO五〇条二項と当事者能力
  第一款団結・結社を取り巻く法秩序
  第二款学説としての非連結主義
  第三款裁判例の検討
 第三節当事者能力概念の構造
  第一款問題の所在
  第二款連結主義の二つの類型の関係
  第三款「全体名称による訴え」の二つの類型の関係
  第四款「全体名称による訴え」と当事者能力
  第五款当事者能力論としての「全体名称による訴え」
  第六款戦後に連結主義が維持された理由-仮説の検証
 第四節おわりに
第三章民法上の組合の当事者能力
 第一節はじめに
  第一款前章までの考察との関係と本章の課題
  第二款民法上の組合を取り巻く状況
 第二節裁判例の分析
  第一款分類方法と時代区分
  第二款当事者としての訴訟上の地位
  第三款当事者能力を肯定した判例の二つの類型
  第四款小括
 第三節考察-要件論
  第一款「(c)その名において訴え又は訴えられうる」
  第二款「(b)代表者の定めがあること」
  第三款「(a)民法上の組合であること」
  第四款当事者能力概念の系譜
 第四節おわりに
第四章当事者能力の要件としての「財産的独立性」
 第一節はじめに
  第一款本章の課題
  第二款平成一四年最判の紹介
  第三款考察の前提
 第二節財産的独立性の二義性-財産的独立性とは何か
  第一款必要説の系譜
  第二款もう一つの必要説
  第三款整理と分析
 第三節判断基準の分析
  第一款不要説の登場とその分析
  第二款新堂新説の登場とその分析
  第三款補助的要件説の再検討
 第四節当事者能力の周辺事情の扱い
  第一款問題の所在
  第二款訴訟前の交渉過程
  第三款他の適格主体の不存在
 第五節おわりに―当事者能力の判断と団体の属性
第五章法人でない団体の当事者能力の再構成
 第一節はじめに
 第二節事件限りの権利能力
  第一款法人でない団体の権利能力
  第二款法人でない団体の当事者能力
 第三節法人でない団体の当事者適格
  第一款当事者適格の構成
  第二款請求の立て方
 第四節構成員の地位
  第一款問題の所在
  第二款検討
  第三款構成員の訴訟参加
 第五節おわりに-「権利能力を伴う当事者能力」と連結主義
第六章法人でない社団の登記請求訴訟
 第一節はじめに
 第二節事案と判旨
 第三節検討
  第一款本章の課題
  第二款公示方法と請求の趣旨
  第三款構成員に対する判決効の拡張
  第四款代表者の意義と執行文
  第五款登記申請資格
  第六款二つの訴訟形態の関係
 第四節おわりに-社団による登記請求訴訟のあり方
第七章法人でない社団の財産に対する強制執行
 第一節はじめに
  第一款問題の所在
  第二款平成二二年最判の紹介
  第三款本章の課題
 第二節執行文付与手続の利用
  第一款消極的評価とその理由
  第二款執行力拡張の是非(法廷意見の論拠の検証)
 第三節平成二二年最判が認めた執行方法の検討
  第一款原則と例外
  第二款民事執行規則二三条一号の意義
  第三款解釈論の限界
  第四款異形の形式主義
  第五款社団財産証明文書の取得方法
  第六款補足意見と二つの類型
  第七款執行文付与手続の利用は「異例の形態」であるか
  第八款登記名義人の債権者による配当加入と手続競合
 第四節おわりに
第八章法人でない社団の財産に対する仮差押え
 第一節はじめに
  第一款問題の所在
  第二款平成二三年最決の紹介
 第二節検討
  第一款仮差押えの申立て
  第二款社団財産証明文書としての確定判決の必要性
  第三款処分禁止の仮処分との関係
 第三節おわりに
第九章社団財産の不動産競売の申立てに必要な文書の取得手続
 第一節はじめに
  第一款本章の課題
  第二款田原睦夫裁判官の補足意見
  第三款社団財産証明文書を取得するための前駆手続
 第二節社団及び登記名義人に対する確認訴訟
  第一款社団の被告適格をめぐる見解の対立
  第二款登記名義人被告説の論拠
  第三款共同被告説の論拠
 第三節登記名義人に対する債権者代位権に基づく給付訴訟
  第一款問題の所在
  第二款社団財産証明文書と既判力
  第三款社団を債務者とした債権者代位訴訟の構造
  第四款債権者代位訴訟の適法性
  第五款債権者代位と社団財産証明文書の既判力
  第六款類型Ⅰと類型Ⅲの関係
 第四節登記名義人に対する債権者代位権に基づく確認訴訟
  第一款債権者代位権に基づく場合
  第二款類型Ⅰの確認訴訟との関係
 第五節その他の社団財産証明文書
  第一款和解調書、公正証書等
  第二款その他の文書(社団規約等)
 第六節おわりに-社団財産証明文書の相互関係
原題・初出一覧
索引