内容説明
無意識の最深層では、心と身体ををつなぐ移行的領域である類心的無意識に至る。ユングが提唱したこの概念は、内因性精神病、器質性精神障害、発達障害などの問題のみならず、健常者の心身の成長、人間と世界の精妙な関係性にまつわる問題に対しても、有用かつ新鮮な示唆を与える。ユング派分析家・精神科医である著者が、アクティヴ・イマジネーションや武道などのボディーワークを通じて見出した心と身体の新たな関係とは。
目次
第1章 ユング心理学の心身観
第2章 発達系と心身
第3章 トラウマ系と心身
第4章 身体系と心身
第5章 アクティヴ・イマジネーションのエッジ
第6章 類心的イマジネーション
第7章 類心的リアリティと時空の超越
第8章 心と身体のあいだ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬佳彰
2
高校から大学のある時期、ユングやユング派の本をまとめて読んだ。しかし当時、類心的無意識なる用語を目にした記憶がない。もしかしたら斜め読みしてしまっていたのかもしれないが、後期の著作の中で現れたものなんだろう。で、かなり分かりにくい。著者も言われているように、学術的に何かを証明しようというスタンスではなく、実際の治療の現場で現れてきた有用かつ具体的な概念だからなのかもしれない。俺が読んだ限りでは、心性を帯びた身体と、身体性を帯びた心を架橋するような無意識ってことなのか?かなり歯ごたえのある本だ。再読が必要。2019/05/19
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0
・Jung晩期の類心的(Psychoid)概念を手掛かりに、近年流行のトラウマ系アプローチを検討していて有難い。元々の集合的無意識仮説自体が進化論寄りのせいか、ポリヴェーガル理論と親和性高い面がある。アクティブイマジネーションが当初「visioning」と称されていたことは、トラウマ記憶の視覚的優位性と関連性伺えて興味深。 ・俗にいう「置き撃ち」を可能ならしめる時空間超越性の卑近例として、コブラのサイコガンを挙げてるのが妙に印象的。同時期の初代ガンダムのNTよりもdropping要素が在るのであろうか。