内容説明
百姓たちは無学で読み書きができず、
武士に一方的に支配される、無力で弱い存在だったのか。
しかし、古文書をひもといてみれば、そこには百姓たちが生き抜くために読み書き・計算の能力を身につけ、村のルールを自分たちで決め、積極的に訴訟を起こし、ときには支配する領主たちに敢然と自己主張するたくましい姿が浮かび上がってくる。
本書では江戸時代の圧倒的多数者だった無名の百姓たちの実像を、実際の古文書をひもとき、解説を加えながら明らかにしていく。
江戸時代の人口の約八割は村の百姓たちだった。彼らについて知ることは、その時代の生活・思考様式について知ることにもつながる。
百姓像のイメージをアップデートする入門書、誕生。
【自分たちの暮らす村を自治的に運営していた百姓たち、読み書き・計算を学んで、さかんに商品の売買を行ない、ときには積極的に訴訟を起こして要求を実現しようとする百姓たち、広範囲にわたって結びつきを拡げることで災害に立ち向かった百姓たち、武士に対しても敢然と自己主張する百姓たち、そうしたたくましい百姓たちの姿が浮かび上がってきたのではないでしょうか。本書が、江戸時代の百姓たちの実像を知っていただく一助となれば幸いです。】......「おわりに」より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
119
江戸時代の農村は幕府や大名の厳しい管理下にあったと思われがちだが、ほとんど農民の自治に委ねられていた実態を千葉県松戸市に残る古文書から明らかにする。年貢額や村の掟を定め、用水を巡る争いを調停し、領主に裁判を求めたり派遣された役人の罷免を要求するほどだった。制限的だが行政・立法・司法の各分野で、全て文書の作成とやり取りで実務が行われていた。つまり読み書きができねば村の運営に参加できず、無学文盲の百姓が武士に搾取されていたとのイメージを打ち砕く。たくましく生きる農民の姿こそ、日本史の教科書に掲載すべきだろう。2024/04/07
サトシ@朝練ファイト
20
舞台は現在の千葉県松戸市あたり、主人公は無名の百姓たちです。これが実に楽しい、読んでいて元気がもらえるようです。2022/02/06
たつや
6
タイトルに惹かれて、図書館で借りましたが、凄く面白かったです。千葉県に住む自分にとって、舞台の松戸市は大分離れてますが、同じ千葉県なので、親近感も覚え、また当時の農民の力強さが如実に分かる、勉強にもなり、スカッとする事もできた良い本でした。2024/06/15
コーリー
5
幸谷村酒井家文書を素材に、江戸時代の人口の約八割を占めていた、村に住む百姓たちに注目して書かれた本。これまで筆者が様々な著書で明らかにしてきた江戸時代の村や百姓について、平易に書かれており、分かりやすい。また内容に関わる文書の写真、翻刻、読み下し文、現代語訳が示されていて、古文書学習にも使うことも出来る。2021/09/14
Úplněk
3
訴訟を起こすことが示談を成立させやすくるテクニックとして使われていたことが面白かった。史料の読ませ方も文書の写真・翻刻・読み下し・現代語訳と用意してあって丁寧だった。2021/10/31
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