内容説明
手紙だからつける嘘。手紙だから許せる罪。手紙だからできる告白。過去の残酷な事件の真相が、手紙のやりとりで明かされる。衝撃の結末と温かい感動が待つ、書簡形式の連作ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
513
(再読)私はいつから手紙を書かなくなったのだろう、と、ふと思った。メールのようにパッと返事が届くわけではなく、書いて、郵送して、相手が読んで、返事が届くのを待って、という手順を踏んで、やっと返事が読める。まどろっこしいって、思う。でも、手紙をやりとりする間に生じる時間があるからこそ、相手を疑ったり、過去を振り返ったり、罪と向き合ったり、というドラマが生まれるのかもしれない。手紙というものには、どれくらいその人の心が入り込むのだろう。書いた言葉、書かなかった言葉。その空白に見え隠れする真実。心の闇も、光も。2018/01/14
☆ぉりん☆
458
そういうこと⁉︎と思いながらも、ふんわりもやもやした中で、私の頭脳レベルでは1回では完璧につながらない。自分は大して傷つきもせず、平凡に生きてるなぁと感じる。闇とか罪とか、もし背負っていたとしたら、全く違う人格になっていたのかな。作品の本質というよりも、やっぱり純粋な恋愛に対する憧れや、飢え(?)が大きいみたいで、作者が望むような感想はもてず。手紙、いいよなぁ。筆まめだけど(自分で言うw)、最近書いてないなぁ。ラブレターでも久しぶりに書いてみようかな笑『北のカナリアたち』の原作とは知らなかった。2014/06/21
ちょこまーぶる
443
他人の手紙を盗み見ているようで、次の手紙をドキドキしながら追ってしまった一冊でした。どの章を読んでも真相が明かされていく過程に驚きながら読み進めました。しかも、何とも言えない恐怖感も併せて体感できましたね。それにしても、他人の手紙を読むという事は現実にはないわけだから、読み進めていく感覚としては、罪悪感一杯になったんですが、それ以上に他人の人生を覗き見ることの快感のような物の方が勝ってしまいました。人間の本性なのかもしれないですね。個人的には「十五年後の補習」が一番好きで、二人のその後が気になります。2016/08/19
hideko
434
短編集。タイトル通り手紙のやり取りでストーリーが進む。 過去の事件も暴かれてゆく。 立場が違うと同じ体験をしていても、全く別ものになる。 そうか『二十年後の宿題』は映画『北のカナリアたち』の原案だったのか。 さすが、今、勢いのある作家だけある。2017/06/06
さてさて
331
『メールでは「あなた」とは呼ばれないだろう。手紙だからできる表現がある』という手紙ならではの表現の潜在力、『手紙を書くという行為は、改めてわたしに、あなたとの正しい距離と時間を認識させてくれます』という手紙ならではの物理的制約、そして『メールを打つときとは違う気分で、自分の気持ちを表現できそうな気がします』という手紙ならではの送り手の心持ちなど、改めて手紙というものが持つコミュニケーションの可能性について、考えを新たにもさせていただきました。なかなかに興味深い作品でした。 2020/09/28
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