内容説明
時は1903年。ニューヨークからナンタケット島に向かう汽船に、一人のアメリカ人の若者が乗っていた。名はブランドック。彼は友人であるホルカー医師の邸宅に遊びに行くところだった。ブランドックは人生に退屈していた。ヨーロッパ旅行をしても憂鬱な気分はまったく消えることはなかった。そんなブランドックにホルカーはある提案をする。「私と一緒に100年後の世界に行ってみないか?」と。
未来の世界にはタイムマシンで行くのではない。ホルカーはひょんなことから手に入れた古代エジプトの「復活の花」を分析して、動物を仮死状態にし、何年も眠らせ、その後蘇らせる薬剤を開発することに成功したのだった。仮死状態の間は、身体はまったく成長も老化もしないのだ。今の世界にうんざりしていたブランドックはホルカーの提案に乗り、二人で100年のあいだ眠ることにした。自力で目覚めることは不可能なので、ホルカーは蘇生方法を記した「遺言書」を用意し、運命を自分の子孫に託すのだった。そして100年が過ぎた2003年、ホルカーの子孫は「遺言書」に従って、二人を目覚めさせる。子孫は二人にこの未来世界を見せて回ろうと、ヘリコプターにも似た巨大な飛行機械に乗って、世界旅行に出発するのだった。
感想・レビュー
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ヴィオラ
4
仮死状態になる薬を飲んだ主人公が、百年後の未来世界を観てまわる。技術的な部分での進歩は、空飛ぶ乗り物や北極を縦断するトンネルなど、まさに「僕達の二十一世紀」な感じなんだけど、技術は進歩しているのに人間という種の成熟が進んでいないのが、リアルっちゃリアルな未来予測ではあるけど、なんとも厭な感じです(^▽^;)これはもはやディストピア小説。2013/05/02
春風
3
百年前のイタリアで書かれた未来小説。アナーキストは北極に隔離され、ラジウムランプが街を照らし、自動販売機にコインを入れれば食事は立ち食いで食べられる。ああ夢の二十一世紀……あるいは悪夢の。2013/09/01