内容説明
藩主の腹違いの弟・松之助警護の任についた保坂市之進は、周囲の見せる困惑と好奇の色に苛立っていた。保坂家にまつわる因縁めいた何かを感じた市之進だったが……(「鷺の墓」)。瀬戸内海の一藩を舞台に繰り広げられる人間模様を描き上げる連作時代小説。「一編ずつ丹精を凝らした花のような作品は、香り高いリリシズムに溢れ、登場人物の日常の言動が、哲学的なリアリティとなって心の重要な要素のように読者の胸に嵌め込まれてくる」と森村誠一氏絶賛の書き下ろし時代小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kazu@十五夜読書会
43
初、今井絵美子。瀬戸内の一藩を舞台に繰り広げられる人間模様を描き上げる5編の連作時代小説。表題作《鷺の墓》藩主の腹違いの弟・松之助警護の任についた保坂市之進は、周囲の見せる困惑と好奇の色に苛立っていた。保坂家にまつわる因縁めいた何かを感じた市之進だったが…。家臣の妻に懸想する暗君な藩主を家老・重役が勢力争いを有利にする為に、「上意」を掲げ家臣を追い詰める。お家大事・跡継ぎ重視の武家社会の暗い一面を描いていて有る意味正直な作品です。市之進のおじに当る人物が、武家を見捨てて農家に飛び出したのが救い・・ 2013/06/13
楽駿@新潮部
34
読書会仲間本。武家の世界の江戸もの。いろいろ、感慨深かったり、その立場にての人情もので、心に迫る部分はたくさんあった。けれど、私にはきっと、武家のそのプライドゆえの物思いや、そのプライドを保つための死については、残念ながら、私には受け入れがたかった。きっとそれは、プライドの為だけに生きる必要のなくなった今の時代だからだと思う。けれど、きっと私自身の生きる指針に関わってくるかもしれない。みっともなくとも、ほめられなくとも、生き抜くことが大事。生き抜くことが強い。なので、江戸ものは諸般の民を扱ったののが好き。2021/01/12
ひさか
17
2005年6月ハルキ文庫刊。書き下ろし。鷺の墓、空豆、無花果,朝露に濡れて、秋の食客、逃げ水、の5つの連作短編。各話に登場する人のつながりでのリレーのような連作で、良くできたお話が多く、面白く楽しめました。2021/01/06
ケイプ
17
瀬戸内の一藩を舞台に繰り広げられる人間模様が描かれた短編集です。それぞれの話にちょっとだけ繋がりがあったりなかったり。そんな端っこを見つけてまたうれしかったり。空豆、よかったです。この後「雀のお宿」「花あらし」と続くようなので読んでみたいです。2015/09/02
いいちゃん
11
この作者とは波長が合いそうな気がします。短編集ですが、短編同士が少しづつリンクしていて、後の短編で前の短編のその後が見えたりします。どの話も、どこか少し不幸というか、儘ならない部分がありつつも、幸せを感じられる話。この作者の長編が読んでみたい。2014/09/26
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