内容説明
唐詩の時代より、「詩」という形式が広く親しまれるようになり、作者も作品もはるかに数多かったと言われる宋代。本書では、この安定した中国的国家体制が敷かれていく時代を、北宋と南宋に大別し、おのおの約30人ずつの数作を選ぶ。自分が好きな詩に限って選んだと述べつつ、王安石、黄庭堅、蘇軾、陸游ら、偉大なる詩人たちの名作を解釈し訳出する。巻末につけられた編訳者による「解説」は、親しみやすい調子で書かれた充実の宋詩論かつ漢詩概説にもなっている。
感想・レビュー
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HANA
66
漢詩を読む機会は多々あれど、その多くは唐のものでその他に触れる事はあまり無かったので、斯様にまとめられたのはありがたい。有名なものでは文天祥の「正気の歌」を始め、蘇東坡等が含まれており、これらは以前より読みたかったのでこちらもありがたい。全体的な印象としては、何となく唐のものよりもの悲しさを感じるようなものが多いかな。向こうの暮春に対して、こちらは秋の暮れのような。また全体的に自然を歌ったものが多いが、これは編者の趣味みたい。自分としても人情を歌うより自然を歌う物の方が趣味に合うので、その点も満足でした。2021/09/07