内容説明
冤罪被害者の救済活動に取り組む日本初の団体「チーム・ゼロ」。弁護士や学者などのスペシャリストで構成されるチームのもとに、無実を訴える一通の手紙が届く。それは23年前の郡上おどりの夜に岐阜県郡上郡で起きた一家四人殺害事件の犯人として、死刑判決を受けた死刑囚・宮原からのものだった。
チームの一員として理想に燃える若手弁護士・藤嶋翔太は宮原と面会し、事件について調べ始める。宮原の当日の行動、凶器に残された指紋、そして宮原自身による証言。そのすべてが宮原の犯行を決定づけるように思えたが、やがていくつもの違和感が浮上してくる。
信頼の置けない科学捜査や心理的なバイアスなど、藤嶋たちは様々な要素から真相を手繰り寄せるが、チームを大きな悲劇が襲い――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
189
「無実の人を救うことが、どうしてこんなにも難しいんだろう」まずはこの言葉に集約される。死刑判決を受けた死刑囚を救わんと動き出す『チーム・ゼロ』藤嶋達の奮闘。冤罪における救済を問うと帯にある。被害者家族にとっては、ならば真犯人は誰とこちらも苦しい。それがもう無理か・・と諦めそうな私をこの手が?これは有りなの?と、全部ひっくるめて大門さんの掌の中で翻弄された読後感(褒めてます)間違ってるとわかってはいても、安野の行動をどうしても否定できない私だった。 2021/11/15
モルク
139
大門さんお得意の冤罪もの。大学教授、弁護士などの有志が支援し冤罪被害者の救済活動に取り組む団体「チーム・ゼロ」は、報酬なしのボランティアで活動している。メンバーの弁護士藤嶋は、死刑囚宮原から無実を訴える手紙を受け取り冤罪をはらすために奔走する。証拠の指紋をめぐり鑑識、刑事をはじめ検察官や裁判官をも巻き込み真相を暴く。協力者が現れたり、真犯人の目撃者があの人だったり、唯一の生き残りの娘と藤嶋がいい感じになったりとうまくいきすぎる感もあるが、大門さんらしい読ませる作品だった。2022/05/30
タイ子
111
死刑囚からの「私はむじつだ」の手紙。受け取ったのは冤罪被害者の救済活動をする「チーム・ゼロ」。元弁護士・大学准教授の東山佐奈を中心にスペシャリストたちが動き始める。手がかりは残された凶器の指紋のみ。どうやってひっくり返すのか。佐奈が事件に、いや冤罪に対する執念がすごくて一体何故?何だろう?と思わせながら読み進む。中盤で思わず二度見するような展開もあり。この展開を大門さんが起こしたわけ、これがあったが故のストーリー展開に於ける彼らの矜持、タイトルの意味が胸に迫る。安野と藤嶋コンビを再び読める日があるといい。2021/11/16
みかん🍊
98
冤罪被害者の救済活動に取り組む「チームゼロ」主催者佐奈に賛同し活動に参加する弁護士藤嶋と安野は郡上八幡の一家惨殺犯である死刑囚から無罪主張の手紙を受け取る、彼は本当に無罪で冤罪の為に死刑にされようとしているのか、指紋やDNAなど科学捜査や心理的バイアスのため逆に冤罪を生み出す事もある、無実を証明する事がこんなに難しいのか、若い彼らは冤罪を晴らすため奮闘する。2021/12/13
おくちゃん🌸柳緑花紅
91
免罪被害者の救済活動に取り組むチーム・ゼロ。死刑判決を受けた死刑囚からの手紙、「俺はむじつだ」科学捜査の信頼性、心理的バイアス。人が人を裁く危うさ。政治家が絡む不穏。二人の若い弁護士が尊敬する東山弁護士は彼らに伝える【冤罪を晴らすことは、絶対の正義】だと。事件の重大な真相を知り活動を進めている時に何者かに殺害される。後半は頁を捲る手が止まらない!稗田検事正の正義、安野弁護士の止むに止まれぬ決断。死刑囚の無実が決定した時、その彼の息子は。被害者遺族の気持ちは。ただ言えるのは【冤罪をなくすことは絶対の正義】2022/02/22