内容説明
国土の8割が山という国柄から、日本には世界にも稀な山岳宗教がおこった。仏教や民間信仰と結合して修験道という特殊な信仰ができあがり、これが日本人の宗教の原点を形成したのである。霊山の開祖たち、山伏の厳しい修行、兜巾・篠懸・金剛杖・法螺貝など特別な服装や持物。それらの起源と意味を追いつつ、修験道の歴史とそこにあらわれた精神を、宗教民俗学の泰斗が平明に説く。修験道があらゆる庶民信仰を包含しつつ、日本特有の宗教文化を作り上げてきたさまが見えてくる名著。
目次
序章
第一章 山伏の開祖
大峯の開祖
彦山の開祖
出羽三山の開祖
立山の開祖
白山の開祖
日光山の開祖
伯耆大山の開祖
石鎚山の開祖
富士山の開祖
箱根山の開祖
戸隠山の開祖
第二章 山伏の入峯修行
山伏の験力と山籠
春の峯入
夏の峯入
秋の峯入
冬の峯入
第三章 山伏と聖火
不滅の法燈と光物
海の修験道
高野山の聖火
第四章 山伏の服装
兜巾と宝冠
篠懸と違帯
結袈裟と注連
曳敷と山人
第五章 山伏の持物
山伏の笈
山伏の錫杖
山伏の金剛杖
斧と槌
伊良太加の数珠
法螺貝と螺緒
肩箱・綾菅笠及び扇・宝剣
第六章 山伏の文化
修験道の美術
修験道の芸能
あとがき
文庫版解説 五来重の修験道研究 鈴木正崇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にしの
12
山人や仏教について知りたくて手に取った。インド仏教と中国日本仏教の違い、錯綜混交する日本の宗教のありかたについて理解できるように書かれている。古代日本土着信仰である海や山の神と、大陸から渡った仏教・陰陽道、朝廷側の記紀神話によって生み出された神、様々なものが入り混じって現在の日本の多様な神と仏、山伏、天狗、伝承、説話が生まれている。修験道は仏教か神教か、法華宗なのか浄土宗なのか、など考えたこともなかったので知識が得られてよかった。2024/12/30
qwer0987
9
目次を見ればわかることだけど、本書は山伏の開祖、入峯修行、聖火、服装、持物、文化といった各論の話がかなり詳細に書かれている。けれど各論に終始するばかりで、結局修験道とはどういうものか、という議論は断片的に記述されているだけでしかなく少し不満を感じた。一番知りたいのはそういった総論だっただけに、散漫な印象となり残念。しかし修験道とは日本古来の原始宗教で、後年になり仏教などの外来のものがくっついてきたことはわかった。自然を神とし、山だけでなく、湖や海などもふくめて崇拝する宗教の姿は目を引くものがあった。2022/03/09
mittsko
8
するすると読める。修験道について自分は本当に、何の立場を持たないのだなぁ、と思い知らされる快感…(´・ω・`) もちろん本書が示すのは、五来重独自の、独自すぎるほど独自の、思い入れたっぷりの、したがってかなり明快、もしくは単純明快な修験道観である そこが好い! 重ねられた現地調査と参与観察(修行の実践)の数と厚み、読まれた史資料の分厚い堆積、それらに圧し潰されることなく、歴史をぶち抜いて「庶民」の宗教としての修験道を幻視する そこが逞しい! ※ 2021年刊、底本は1980年2025/04/01
眉毛ごもら
3
日本の庶民文化(田楽等)及び仏教神道は山伏が起源だったんだよ!ΩΩΩ<なんだってー、な文章や、今はこうなっている祭祀は山伏が起源だと決まっているのだとかの断定的主張が多い。修験道に関してはあまり詳しく無いので(だからこの本を手にとったのだが……)そこらへんは一応脳内の判断保留の棚に上げておいて修験道についての修行や、持物、山籠りの作法について昭和ぐらいまでの現状が詳しく調査してあるのでそこは楽しく読んだ。初版1980年なので最近の修験道についての本を漁ってどのように修験道が変わったか、比べてみたいものだ。2022/07/08
Go Extreme
2
山伏の開祖:大峯の開祖 彦山の開祖 出羽三山の開祖 立山の開祖 白山の開祖 日光山の開祖 伯耆大山の開祖 石鎚山の開祖 富士山の開祖 箱根山の開祖 戸隠山の開祖 山伏の入峯修行:山伏の験力と山籠 春の峯入 夏の峯入 秋の峯入 冬の峯入 山伏と聖火:不滅の法燈と光物 海の修験道 高野山の聖火 山伏の服装:兜巾と宝冠 結袈裟と注連 曳敷と山人 山伏の持物:山伏の笈 山伏の錫杖 山伏の金剛杖 斧と槌 伊良太加の数珠 法螺貝と螺緒 肩箱・綾菅笠及び扇・宝剣 山伏の文化:修験道の美術 修験道の芸能2021/07/19
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