内容説明
日本という異国に住まいながら、日本人と外国人の間をさまよう人々を巧みな心理描写と独特の文体で描いた短篇2本。
「鴨川ランナー」第二回京都文学賞受賞作。選考委員の満場一致で選出された。日本から京都に仕事に来た西洋人の日常や周囲の扱い方に対する違和感を、「君」という二人称を用いた独特の文章で内省的に描く。
「異音」・・・福井の英会話教室を突如やめる羽目になった外国人の主人公は同僚の紹介で結婚式の神父役のバイトを始める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
249
2021年に京都文学賞を受賞した、もちろん京都を舞台とする表題作と、福井(とちょっぴり神戸)を舞台にして、タイトル「異言」の意味を知ることができる、短編2作。文字すら異なる異国で外人が持つ不安感·高揚感や、在日欧米人に日本人が期待する役割との心の葛藤などが、言語化されていて、非常に興味深く読むことができました。日本には本当の意味でのダイバーシティって根付くのかな? そんなことを考えさせられる良書です。鴨川の遊歩道を走る気持ち良さも伝わってきます。2022/05/14
ケンイチミズバ
110
文体の瑞々しさ若々しさに好感がもてる。京都の季節感がハダ感覚というのだろうか、体感できるほどの日本語力だ。君の気持ちがすごく理解できる。外国人に対する日本人の会話は確かにおかしい。人として扱ってもらえないと感じるほどに不自然で、どうせなら日本語で話しかけて普通に会話をして欲しい。頷いてしまう。疎外感から外国人とばかりで集まり飲み、会話してしまう君。言語の魅力に導かれ来日した君を通じて私にも見えた日本の期待外れが新鮮でリアルです。結婚式場で牧師を演じる外国人の複雑な気持ちも理解できる「異言」も笑うしかなく。2022/06/20
mukimi
109
日本に強く憧れ移住する外国人の物語。「君は」が主語なのはyouの直訳なんだろう。日本と外国の越えられない壁を終始感じさせられた。異国への憧れ、人間との接触の渇望(つまり何らかの欠落)、平凡な人生への疑問、異分子でしかいられない孤独…日本に溶け込もうと奮闘する外国人の目線は、若手から中堅に移行しつつある自分の寂しさにも似ていた。滔々と流れを変えない鴨川と、周章狼狽する人間達との対比は、すんなり心の奥に届いた。外国人達が憧れと引き換えに受け入れた静かな諦めは、冬の鴨川のように強く美しく冷たく哀しかった。2026/01/01
アキ
101
第二回京都文学賞受賞作「鴨川ランナー」が良かった。主人公は著者自身。高校生の頃、京都を訪れ橋の中央で川を眺める。大学を卒業後、英語教師として京都近郊で働く。住んでみると外国人に京都の街は冷たく、東京の私立大学に就職が決まる。出張で京都を再訪する。あの頃と同様鴨川をランニングする。四条、三条、二条、出町柳、葵橋、目の前の百mに集中して京都の町と一体になる。学生に留学の相談をされてわが身を省みる。海外留学の「価値」とは。現実は複雑でちぐはぐなものであった。「異言」英会話教室の倒産で生徒の女性と同棲を始める話。2022/02/18
ケイ
96
鴨川をランニングする予定の前夜に偶然見つけたので読んでみた。日本にいる自分を客観的に「きみ」とよぶ書き手。さて、感想をと言えば…、何となくふーんそうなのか、と読んでいたのだが、最後のシーンがなんとも生々しくて嫌悪感を覚えてしまって、感想をギブアップ。2022/10/03
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