岩波新書<br> 『失われた時を求めて』への招待

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岩波新書
『失われた時を求めて』への招待

  • 著者名:吉川一義
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 岩波書店(2021/10発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004318842

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内容説明

岩波文庫版『失われた時を求めて』(全14冊)の完訳を達成したプルースト研究第一人者が作品の核心に迫る解説書.この不世出の大長編は,なにを,どのように語った作品なのか.全体の構成,特長,勘所を分かりやすく読み解く.魅惑の読書体験へといざない,全篇読破に挑戦する人には力強い羅針盤となるスリリングな一冊.

目次

はしがき┴『失われた時を求めて』の構成┴『失われた時を求めて』の主な登場人物と架空地名┴第1章 プルーストの生涯と作品┴1 プルーストの生涯┴2 初期作品 『楽しみと日々』、『ジャン・サントゥイユ』、ラスキン翻訳┴3 『サント=ブーヴに反論する』から『失われた時を求めて』へ┴第2章 作中の「私」とプルースト 一人称小説の狙い┴1 『失われた時を求めて』の「私」はプルーストなのか┴2 主人公の「私」はなぜ影の薄い人間なのか┴3 語り手の「私」に寄りそう作者プルースト┴第3章 精神を描くプルースト 回想、印象、比喩┴1 『失われた時を求めて』はすべて「私」の回想談┴2 マドレーヌ体験の意味 無意志的記憶とはなにか┴3 印象の記述になぜ比喩が多用されるのか┴第4章 スワンと「私」の恋愛心理┴1 「スワンの恋」はなぜ必要なのか┴2 「私」のジルベルトとアルベルチーヌへの恋┴3 スワンと「私」に内在する分身の声┴第5章 無数の自我、記憶、時間┴1 恋愛における無数の自我┴2 自我はつねに無数┴3 記憶と時間┴第6章 「私」が遍歴する社交界┴1 ゲルマント公爵夫妻のサロン┴2 本作品における社交サロンの意味┴3 全篇の中心を占める祖母の病気と死┴第7章 「私」とドレフュス事件および第一次大戦┴1 ドレフュス事件はいかに語られるか┴2 第一次大戦はいかに語られるか┴3 社会はなにゆえ変容するのか┴第8章 「私」とユダヤ・同性愛┴1 「私」とユダヤ人┴2 「私」と「ソドムとゴモラ」┴3 ソドムとゴモラの「結合」┴第9章 サドマゾヒズムから文学創造へ┴1 ソドムとゴモラにまつわるサドマゾヒスト┴2 『失われた時を求めて』に頻出するサドマゾヒスト┴3 文学に必要不可欠なサドマゾヒズム┴第10章 「私」の文学創造への道┴1 登場人物たちの愛する文学・芸術┴2 三人の架空芸術家┴3 『失われた時を求めて』の照射するもの┴あとがき┴【地図】プルーストと『失われた時を求めて』のパリ┴図版出典一覧┴主要文献案内┴『失われた時を求めて』年表/プルースト略年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

101
集英社文庫版で読んだのは10年以上前だが、岩波版訳者がプルーストの思想や美学にまで懇切丁寧に分け入ってくれたおかげで、おぼろげだった記憶がよみがえってくる。紅茶とマドレーヌの情景からスワンのオデットへの恋情、アルベルチーヌとの不器用な恋とドレフュス事件やサドマゾヒズムとの関わりなど、あの部分にはこんな視点や思いが込められていたのかと思い当たるのもしばしばだ。主人公の恋愛模様や社交界の変遷を通じて達した「真の解明された人生こそ本当の文学である」の境地こそ、あらゆる文学が目指すべき極点だと納得させられるのだ。2022/01/03

KAZOO

91
「失われた時を求めて」の岩波文庫版を訳された方のこの本の読むための様々な情報を集集めてくれた本です。自慢ではないのですが私も若い頃に新潮社版、集英社版にチャレンジして2回とも途中でダウンしました。この本だけを読んでもあまり効果はないと思うのですがこれを一読して、本論を読みながらこの本を参照するのがいいのでしょう。ということで岩波文庫版を読もうと思うのですが、光文社の古典新訳文庫も評判が高そうなので迷っています。2022/09/11

やいっち

85
「無二の大長編は、なにを、どのように語っているのか。全訳を達成した第一人者によるスリリングな解説書」というもの。吉川氏による『失われた時を求めて』をリアルタイムで数年かけて全編を読んだ。訳者に敬意を表し、本書を手にした。得られる知見は多々あったが、読んだ時の楽しさを思い返していた。いつか再読することがあるだろうか。2021/07/21

へくとぱすかる

80
有名なのに長大すぎて、実際に読破した人はどのくらいいるのだろう。未読だが、せめてその概略だけでも知っておきたいと思った。プルーストという作家は、さすがに長く書いただけではなく、文章にも工夫をこらし、構成もテーマも変えながら、巨編を書いた。しかもその方法に自覚的であり、近代人として一貫した冷静さで執筆していたようだ。冒頭の部分には、理解に苦しむようなことが書いてあるというが、それが最後の部分の、いわば伏線になっているというから、見事であり、読書欲をそそられる。独立して読めるという冒頭部だけでも読みたい。2021/07/29

燃えつきた棒

44
突然、読書のモチベーションが雲散霧消してしまった。 それを救ってくれたのが、「文學界10月号」に掲載されていた吉川先生の「見出された『失われた時を求めて』初稿」だった。 最初、ちくま文庫の井上究一郎訳を読んでいた僕は、第5巻で頓挫してしまっていた。 その時出会ったのが、立教大学の公開セミナー「新訳でプルーストを読破する」であり、吉川先生の訳だった。 お陰様で、僕もなんとかプルーストを読破することができた。 僕は、まさに吉川先生によってプルーストに招き入れられたのだ。2021/09/30

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