岩波新書<br> グリーン・ニューディール - 世界を動かすガバニング・アジェンダ

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岩波新書
グリーン・ニューディール - 世界を動かすガバニング・アジェンダ

  • 著者名:明日香壽川
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 岩波書店(2021/10発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004318828

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内容説明

気候危機をもたらした社会システムをチェンジし,コロナ禍からのリカバリーとジャスティスの実現をも果たす――米バイデン政権発足で加速する世界的潮流とは何か.その背景,内容,課題を解説すると共に,「二〇五〇年カーボン・ニュートラル」を宣言したものの政府も産業界も対応が大きく遅れている日本のとるべき道を提言する.

目次

序章 コロナ禍からの回復 環境も経済も正義も┴気候変動が新型コロナを生んだ!?/コロナ禍と気候変動問題との相似性/グリーン・リカバリーとグリーン・ニューディール/環境も経済も/ジャスティス(正義)/社会システム全体のチェンジ/豊かさと幸せと平和をもたらすニューノーマルをめざして┴第1章 科学から政治へ┴ノーマルになった異常気象/気候危機宣言/シリア難民と温暖化/イベント・アトリビューション/IPCCに対する誤解/消えない温暖化懐疑論/そもそも二℃目標とは?/一・五℃目標のカーボン・バジェットが意味するもの┴第2章 政治への期待と幻滅┴京都議定書を殺した日本/パリ協定 妥協の産物/米国議会承認という人質/幻に終わった日本の温室効果ガス排出削減目標/グレタの怒り/子どもたちだけでなく/立法や行政に対する幻滅/日本での石炭火力差止め訴訟/仙台での判決の問題点┴第3章 エネルギー革命に乗ろうとしない日本┴再エネ発展の歴史/最も安い発電エネルギー技術に/無視される省エネ/新しい社会のかたちと取り残される日本/容量市場というブレーキ/石炭・原発に執着する理由/原発は温暖化対策というフェイク/英国家監査局の原発補助金批判/日本は核兵器を作れるか/日本は核兵器を作る意思があるか/何がフェイクか┴第4章 グリーン・ニューディールの考え方および具体的内容┴サンライズ・ムーブメント/グリーン・ニューディールの誕生/第二波の特徴/オカシオ=コルテスとサンダース/バイデンのグリーン・ニューディール/EUグリーン・ニューディール/中国のグリーン・リカバリー/中国の目標は実現可能か?/韓国ニューディール/各国のグリーン・ニューディールの共通点┴第5章 日本版グリーン・ニューディール┴2050年カーボンニュートラルのためのロードマップ/GR戦略の数値目標と効果/現行政府案との比較/GR戦略の経済合理性/既存技術のみで九三%CO2削減が可能/大気汚染による早期死亡の回避/電力価格は安くなる/電力需給バランス(安定供給)の検証/雇用の公正な転換/財源をどうするか┴第6章 グリーン・ニューディールの課題┴グリーン・ニューディール世代/多くて、曖昧なアジェンダ/過激すぎるアクション? ゆるすぎる組織?/具体的な政策の策定/財源問題 緊縮か反緊縮か、税金か赤字財政支出か/排出量取引制度に対する誤解/国際交渉は変わるか/先進国の途上国支援義務条項/中国と米国の交渉スタンス/国際交渉の構造的な問題/ビジネスは変わるか/残存者利益戦略/資本主義と気候変動/「脱成長コミュニズム」が気候変動を解決するか?/議論のさらなる活性化を┴終章 現世代と未来世代の豊かさと幸せをめざして┴人間の本質は気候変動対策をしない?/新自由主義者による再編成/ゆっくり勝つことは負けること/「未来のために」の制度化┴あとがき┴主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜郎自大

8
この人を中国人のアカだと非難するネット書き込みがあるが、そのようなことは感じない。政治での主旨の捻じ曲げと、マスコミを含めた軽率な報道が特にこの日本では多いのだろうと推察する。世界的に見たら再エネが原子力などよりもコストが安く、ランニングも低くなっているデータなんて日常の報道からは入ってこない。2050年カーボンニュートラルは全世界に見ての目標であって、先進国はもっと前倒しする必要があるとは、自分自身の浅はかさに少し恥じた。筆者グループが開示している日本でのグリーンニューディール策も読みたい。2023/05/20

くものすけ

5
日本や世界が直面する問題は山積していますが。地球温暖化対策は人類全体の死活問題と認識した方がい好い。ぬるま湯に浸かったカエルは茹で上がってしまう事に気が付かないという寓話?も有ります。人任せにせづ、何とか自分でできる脱化石燃料に手を付けると同時に、一般市民レベルでもっとこの問題に関して関心を持ち、勉強していく事が重要と考えます。2024/09/18

Ujiro21

5
2021年の気候対策に関わる情勢がまとめられて興味い。気候変動の行動原理がジャスティスにあり、サンダース現象やグレタさんの動きが世界多発的であること、再エネコスト安の正当性などが数字で示され理解しやすい。特に、原発は中国ですらペイできないとされている状況に、再稼働60年の異質さを気付かされる。平和利用限定していた原子力基本法に、安全保障項目が追加されていたことに驚き、先人達への後ろめたさを感じた。一方、原発と再エネの指標の図では、データ出展元から独自に調整されていたりと偏りも感じずにはいられなかった。2023/03/25

kenitirokikuti

4
図書館にて。地球温暖化問題について復習中。著者は環境左翼の組織者・活動者で、そのタイプの人間の考え方や主張が分かった。結局のところ、クソもミソも混ぜてゴネ通すというやり方なので、同調しづらい。接着剤で手を壁にくっつけて騒ぐって欧州活動家がやってるやつを自分の検討したけど、言葉を濁してやらなかったらしいけど、どう見りゃいいの。おれ小学生のとき、いじめっ子を鉛筆で刺してやろうと筆箱に手を伸ばして、(どこを刺す?)ってところで止まってしまった。それから俺は人を物理的に叩いたことはないけども…。2023/07/29

お茶

4
温暖化問題、気候変動でなく、気候危機(climate crisis)というべき状況である認識はあまりなかった。暢気に構えていたのでかなり衝撃的。気候変動問題がジャスティス(社会的公平)にかかわるガバニングアジェンダであること。2015年のパリ協定(平均気温を産業革命前の2℃上昇以内にする。できれば1.5℃以内に抑える)を実現する。そのためにEU・米国・中国・韓国までロードマップを作成している。日本でも、2050年にカーボンニュートラル実現という政府目標は可能だとする著者らのロードマップは説得力がある。2021/08/15

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