岩波新書<br> 刀狩り - 武器を封印した民衆

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岩波新書
刀狩り - 武器を封印した民衆

  • 著者名:藤木久志
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 岩波書店(2021/10発売)
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  • ISBN:9784004309659

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内容説明

秀吉の刀狩りによって民衆は武装解除されたという「常識」がつくられてきたが,それは本当だろうか.調べていくと,それに反する興味ぶかい史実が次々と浮かび上がってくる.秀吉からマッカーサーまで,刀狩りの実態を検証して,武装解除された「丸腰」の民衆像から,武器を封印する新たな日本民衆像への転換を提言する.

目次

プロローグ──丸腰の民衆像を超えて┴小説『海鳴りの底から』によせて┴天草からの手紙┴武器を農具に┴武具狩りへの夢┴宣教師のみた帯刀習俗┴映画「七人の侍」によせて┴刀狩りをみる目┴三つの刀狩り┴中世ドイツ農民の武装権┴「強大な国家、みじめな民衆」像を疑う┴Ⅰ 中世の村の武力┴1 刀の習俗┴中世の村はなぜ武装したか──四つの武装┴自検断の暴力┴刀は成人した男たちのしるし┴刀指の祝い┴刀を指す少年たち┴2 村の武器の断面┴百姓たちの武器┴村のサムライとカマサシ┴戦国の村の鉄砲┴3 脇指の習俗┴村人の脇指を奪う┴近世の村の脇指取り①┴近世の村の脇指取り②┴Ⅱ 秀吉の刀狩令を読む┴1 刀狩令書を読む┴特大な刀狩令書┴刀狩令を読み解く──第一条┴刀狩令を読み解く──第二条┴刀狩令を読み解く──第三条┴2 刀狩りの伝承と大仏┴刀狩りの故事┴柴田勝家の刀狩り伝承┴刀狩りの噂を読む┴説得の決め手は大仏┴宣教師のみた刀狩り┴中世の刀と大仏┴焦点は刀に┴3 原刀狩令の発見┴原刀狩令を探る┴原刀狩令の裾野で┴高野山の刀狩り┴無血の刀狩りを演出する┴山城の原刀狩り┴武具は預ける┴秀吉の鉄砲所持禁止令┴4 秀吉の惣無事令┴九州の平和令┴領土裁定──国分け案の提示┴「九州征伐」へ┴関東・奥両国惣無事令┴Ⅲ 刀狩りの広がり┴1 東国の刀狩り┴美濃の刀さらえ┴加賀の刀狩り┴刀狩りの監察意見┴町人をどうするか┴前田利家の刀狩り┴村まかせの刀狩り┴若狭の刀狩り──害獣駆除の武器は免許┴甲斐の刀狩り┴2 西国の刀狩り┴中国地方の刀狩り┴出雲の刀狩り┴島津領の刀狩り┴筑後・肥前の刀狩り┴3 奥羽の刀狩り┴奥羽刀狩りの原則┴刀狩りが白河関を越える┴一揆の武装解除と刀狩り┴北奥の刀狩り┴4 再刀狩りはじまる──朝鮮侵略期の刀狩り┴高野山の再刀狩り┴侵略拠点九州の刀狩り┴フロイスのみた刀狩り┴フロイスの情報①┴フロイスの情報②┴フロイスの情報③┴フロイスの情報④┴関ケ原合戦の戦場から┴Ⅳ 秀吉の平和┴1 浪人停止令┴村の浪人を追い出せ┴2 海賊停止令┴海の刀狩令┴海民を掌握する┴海の平和へ┴倭寇を禁止する┴中国貿易へのまなざし┴3 秀吉の「村の平和」令┴喧嘩停止令の発見──判例①┴喧嘩停止令の判例②┴喧嘩停止令の判例③┴村の平和令┴村の刃傷を自主回避する┴4 徳川の喧嘩停止令┴徳川喧嘩停止令の発令┴近江の村々の武力┴徳川喧嘩停止令の再令┴喧嘩停止令の広がり┴Ⅴ 徳川の平和、刀狩りの行方┴1 徳川の刀狩り事情┴徳川は刀狩令を継承したか┴大名法のなかの刀狩り┴村の名刀狩り┴2 細川氏の刀狩り┴刀狩りと撤回┴日本の武具狩りの夢┴3 身分制御のプログラム┴髪・ひげ・刀┴見分けられる身分へ┴長脇指の規制┴4 江戸町人の帯刀事情┴江戸の町触れ┴江戸町年寄の証言┴惣町人刀停止令┴脇指の街角┴5 村の帯刀事情┴尾張藩の村では┴越前藩・徳島藩の村では┴百姓に不似合い┴村の帯刀事情┴帯刀権を献金で買う┴6 村の鉄砲の世界┴幕府の諸国鉄砲改めの現実┴村の鉄砲規制の初令を探る┴鉄砲改めの本格化┴生類憐み令と全国鉄砲改め┴鉄砲改めは百姓の武装解除令か┴享保の鉄砲改め┴山村の鉄砲┴武器から農具への変身を歎く┴天保の関八州鉄砲改め┴村の悪党と鉄砲┴百姓一揆と鉄砲不使用の原則┴発砲の衝撃┴「あえて人命を損なう得物は持たず」┴7 幕末の村の武器事情┴逸脱の暴力の世紀へ┴幕末出羽の村の農兵┴農兵の武器はどこから来たか┴関東天領の農兵┴武州世直騒動の発砲┴戊辰戦争の村の武力┴Ⅵ 近代の刀狩りを追う┴1 廃刀令以前┴百姓・町人の帯刀廃止令┴廃刀随意令の提案┴廃刀随意令の完全否決┴農工商の勝手な帯刀を禁止する┴庶民の帯刀禁止令をどうみるか┴散髪・脱刀勝手令┴ジャンギリ頭をたたいてみれば┴発砲規制の深まり┴明治五年の銃砲取締規則┴兵農合一論の登場┴2 廃刀令以後┴帯刀禁止令──俗称「廃刀令」┴廃刀令の現実┴陸軍省上申と武装抵抗権論┴司法省の実務上の見解┴廃刀令は「平民、帯刀の禁」もふくむ┴武装解除ではなかった廃刀令┴帯刀は軍・警・官の身分表象に┴3 マッカーサーの刀狩り┴日本占領軍の刀狩り始まる┴日本政府の刀狩り提案┴市民の武装解除方針きまる┴市民の武装解除の現場から┴全国の武器没収のあらまし┴接収された武器は動輪に、海中へ┴赤羽刀のゆくえ┴銃砲等所持禁止令┴「剣を鋤に、銃を薪に」┴「銃砲刀剣類等所持取締令」から「銃砲刀剣類所持等取締法」(銃刀法)へ┴「銃刀法」下の膨大な刀┴エピローグ──武装解除論から武器封印論へ┴松永貞徳の感慨┴武器の所持と凍結┴素肌・丸腰の武器感覚┴鉄砲をすてた日本人┴ヨーロッパの刀狩り┴あとがき┴参照した論著の一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

65
秀吉の刀狩りで農民の武器はなくなったのかと思ってたけど、そうでもないらしい。 その後も戦闘力結構あった、けれど、江戸時代は自制した。後半爆発、ということかな2023/04/03

fseigojp

16
江戸時代でも天領以外では、刀は結構庶民に残っておったようです 土佐の郷士や十津川郷士などは最たるもの マッカーサーの刀狩は、本当に怖かったのでしょう旧日本兵が暴発するのが。。。明治政府も、旧士族の反乱に懲りたのでしょうね その点、中世の刀狩は身分社会の確立が目的だったという指摘は鋭い!2015/08/05

リードシクティス

15
太閤検地と並んで豊臣秀吉の重要政策として知られる刀狩り。教科書に載っている数行の記述で、あたかも全国の民衆の所持する武器がすべて没収しつくされ、それ以後武士以外の民は武器を一切持たなかったかのような印象を持っていたが、それが誤りであることを知った。実際は武器没収よりも、身分の固定化が主であり、武器自体は江戸時代を通じてかなりの数が農村に存在し、百姓は脇差を腰に差していたらしい。江戸期以降の平和は、お上からの命令よりも、「武器を持ちながらも使わない」という民衆の自立と合意によるものという見方は感慨深い。2019/04/02

futabakouji2

10
なんて面白い本だったんだ!! これを読む前は日本の農民は刀狩りで鉄砲を個人所有できないという歴史観だった。しかし、違った。刀狩り以降も農民は武器を所有していた。太刀を帯刀することを禁止されていた。しかし、帯刀してはいけないだけで家に置いておいた。しかも鉄砲にいたっては農地を荒らす鹿や猪のために発砲していた。全然武装解除してないじゃん!日本人は武器を刀狩りで奪われたために、政府に文句が言えないという論があるけど全然違うじゃないか!! 武器を持っているのに一揆の時に鉄砲、刀を持って暴れないのは奇跡に近い。2018/06/05

MUNEKAZ

9
秀吉の行った「刀狩り」が、字義通りの「武装解除」ではなく、「身分統制」であったことを示した画期的な一冊。武器を取り上げるのではなく、「帯刀」を禁止する(だから武器自体は農民が封印する)という事実の意外さ、そして武器の使用に対する中世から近世にかけての意識の変化と読みどころが多い。また同じ武器でもシンボルとみなされる刀に対し、あくまで道具扱いの鉄砲という違いも面白い。しかし現代日本人が当たり前に思う一般市民が武装をしていないという状況も、占領を経た戦後からのもので随分最近の現象なんだなぁと。

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