内容説明
《レギスⅢへの着陸完了。サブ=デルタ92型砂漠惑星。われわれは第二手順に則ってエヴァナ大陸の赤道地帯へ上陸する》この通信から40時間後、まったく意味をなさない奇妙な音声を伝えてきたのを最後に消息を絶ったコンドル号を捜索するため、二等巡洋艦インヴィンシブル号は琴座の惑星レギスⅢに降り立った。そこは見わたす限りの広大な大地に生命の気配のない、赤茶けた灰色の空間であった。やがて、偵察のために投入された撮影衛星が人工的な構造物をとらえ、探索隊が写真が示す地点へと向かう。たどり着いたのは、奇怪な形状を有し廃墟と化した《都市》であった。《都市》の内部へと足を踏み入れ、調査を進める探索隊であったが、そこにコンドル号発見の知らせがもたらされる。急ぎ現地に向かった一行が目にしたのは、あたり一面に物と人骨が散乱し、砂漠にめり込んでそそり立つ、変わりはてたコンドル号の姿であった。謎に満ちたこの惑星でいったい何が起こったのか!?――『エデン』『ソラリス』からつらなるファースト・コンタクト三部作の傑作のポーランド語原典からの新訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさか
29
2021年9月図書刊行会刊。砂漠の惑星の新訳版。1964年発表の話だがアイデアは古びていない。レムらしいファーストコンタクトな物語。装丁が90度回転していて、本文、横書き?と思いましたが、ドッキリデザインだったです。楽しい。2022/02/20
猫路(ねころ)
19
コンドル号の不可解な発見により、ファースト・コンタクトさえ意味をなさないまま、雲が現れた。初めは色々議論はされていたが、見当がつかず。探っていくうちに、無機質な《虫》であり《奴》だと。ロアンは仲間を失い、この砂漠の惑星に何を感じ、求めたのか。この意外性も良い持ち味であって楽しく読ませていただきました。2024/03/14
ふみふみ
18
ファースト・コンタクトSFの傑作です。「ソラリス」程ではないにせよ未知の惑星の建造物、風景描写の異質さは半端なく、加えて<雲>と科学兵器(反物質砲)の壮絶な戦闘シーンの迫力、惑星の生命形態と進化の驚くべき謎(この科学アイデアには仰天しました)、これらが盛り込まれたサスペンスフルなストーリー展開は正にド直球の古典的なSF、いわゆるセンス・オブ・ワンダーってやつですね。ただワンダー(驚異)というよりかフィアー(畏怖)の度合いの方が高いです。2022/09/07
スターライト
14
レム生誕百周年にポーランド語からの初邦訳となった本書は旧訳でも読んでいたのだが、久々に読んでみてあらためて傑作だと感じた。「ラウダの仮説」で進化した機械とされたレギスⅢのこの金属の微小な虫=奴らが、「正常な進化」を遂げた生命体である人間による攻撃を次々と跳ね返し、究極の兵器と思われた巨大機械キュクロプスまで打ち破るシーンは圧巻とともに畏怖さえ感じた。そして艦長との密室でのやりとりの後に、ロアン一人で4人の消息を求めて雨裂谷に向かいながら一連の行動の意味を考える場面には圧倒された。レム、恐るべし。2022/02/28
サワ
11
SFでの主なテーマとなる対峙するものが「虫」で、雲の集団となって脅威となる設定は新鮮だった。ある一つの統一されたシステムではなく、小さなシステムを必要に応じて結ぶ発想は、現代における【デスクトップPC<スマホ】のようだ。2025/04/30
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