講談社学術文庫<br> 日本人の死生観

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講談社学術文庫
日本人の死生観

  • 著者名:五来重【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2021/10発売)
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  • ISBN:9784065257494

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内容説明

仏教学に民俗学の方法を接続し、日本人の宗教を深く掘り下げた五来重。本書は、厖大な著作を遺した宗教民俗学の巨人の「庶民宗教論」のエッセンスを知るのに最適な1冊である。
日本人の死生観とは、すぐに連想される「ハラキリ」や殉死など、武士道的なものだけではない。貴族や武士の死生観、いわば「菊と刀」ばかりでなく、「鍬」を持つ庶民の死生観は、一体どんなものだったのか。本書では、教祖・教理・教団から成る西洋起源の宗教や、文献研究と哲学的思弁にこだわる仏教学ではなく、仏教伝来以前からの霊魂観や世界観が息づく根源的な「庶民の死生観」を明らかにしていく。
著者によれば、庶民にとってあらゆる死者は一度は怨霊となる。それは鎮魂によって「恩寵をもたらす祖霊」に変えなくてはならない。そのための信仰習俗や儀礼の有様を探索し、日本列島を歩きに歩いた著者の視線は、各地に残る風葬や水葬の風習、恐山のイタコと円空仏、熊野の補陀落渡海、京都の御霊会、沖縄のイザイホウ、遠州大念仏、靖国神社などに注がれる。
巻末解説を、『聖地巡礼』『宗教と日本人』の著者・岡本亮輔氏(北海道大学准教授)が執筆。〔原本:角川書店、1994年刊〕

目次


日本人の死生観

日本人と死後の世界
みちのくの神秘・恐山 その歴史と円空仏
口寄せ巫女

怨霊と鎮魂

死と信仰――補陀落渡海の謎
古来の葬送儀礼から見た現代の葬儀と葬具
仏檀

墓の話
解説(岡本亮輔)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

71
恐山やイタコ、補陀落渡海や墓の変遷を手掛かりに、日本人の死生観を考察した一冊。各章の発表時が主に七十年代という事で、一部やや古さを感じさせるものの語られている内容はどれも現在に通底するものばかり。むしろイエや血縁といったものの意義が薄れ、各個人の過去との繫がりが希薄になっている現在だからこそ読まれるべき本かも。個人的に面白かった部分はやはり補陀落や恐山だが、読まれるべきは日本人の来世観をまとめた「怨霊と鎮魂」や墓や葬儀の変遷を通じて日本人の死生観を綴る「墓の話」だと思う。一部情緒に流れているが面白かった。2022/01/15

南北

49
日本人は死ぬと怨霊になるというのが日本の庶民の死生観だと著者は主張する。このため死者を鎮魂する必要が出てくる。恐山のイタコや熊野の補陀落渡海、京都の御霊会などからそうした「日本人の死生観」を探ろうとしている。同じ著者の「仏教と民俗」でも出てきた話もいくつかあるが、山越阿弥陀に対する考え方など従来とは異なる見解を知ることができて興味深く読むことができた。2022/02/07

松本直哉

24
大きな字で俗名を刻む現代の墓よりも、墓誌を遺体とともに地中に埋めて匿名的にシンプルに祀る奈良時代の人々の考え方を奥ゆかしく感じるという著者が、高僧や知識人ではなく古代の無名の庶民の、死者に対する畏怖と親愛が、どのような葬礼の形で現れたか、全国の寺や墓地を渉猟しながら考察する。山地の民は風葬(鳥辺野、化野、熊野など)海辺の民は水葬(補陀落渡海)、風葬の名残が天皇の葬儀における殯らしい。卒塔婆の起源は墓に植えた樹木で、その梢が霊の依り代だった。元の意味を忘れて宗教心も薄れた現代人に、鎮魂とは何か、再考を迫る書2024/08/02

しょうゆ

7
死後の世界の考え方、葬儀や墓、恐山、補陀落渡海など興味深いことばかりでとても楽しく読めた。ちょっと同じ内容の繰り返しが多いかなと気になりましたが、それがかえってわかりやすさに繋がっていたと思います。思想が強めな部分はちょっと飛ばし読み気味になってしまったけど、全体的には勉強になることばかりでした。やはり宗教や死生観に関する本は面白い。2022/05/16

フリウリ

3
行基が後世に最も大きな影響を与えたのは、庶民のために火葬を始め、墓を作ったことである、という指摘は興味深く、その他「なるほど」なことがたくさん書いてある。ただ、本書の多くは講演などの原稿起こしがもとになっているのだけど、五来重の「話のマクラ」は教条的ゆえに凡庸で、わりといい加減なことを言っている。例えば、日本人の霊魂観は仏教以前の古い霊魂観が残っているが、キリスト教国などでは古い宗教や霊魂観はほぼ撲滅されている、という指摘は、「金枝篇」を想起するだけでも、事実とはいえない。ファンとしては許すが、惜しい。72023/03/03

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