講談社選書メチエ<br> 極限の思想 バタイユ エコノミーと贈与

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講談社選書メチエ
極限の思想 バタイユ エコノミーと贈与

  • ISBN:9784065239483

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内容説明

大澤真幸・熊野純彦両氏の責任編集による新たな叢書、ついに刊行開始! 「自らの思考を極限までつき詰めた思想家」たちの、思想の根源に迫る決定版。21世紀のいま、この困難な時代を乗り越えるには、まさにこれらの極限にまで到達した思想こそ、参照に値するだろう。
本書は、バタイユの思想を、一貫して「エコノミー」という観点から読解する。「エコノミー」とは、単に経済をさす概念ではない。人間は計算も見返りもなく贈与することができる。このような消尽も含めた人間の全体性の考察こそがバタイユのエコノミー論だった。人間の意識が極限に至ることで、生産から消費へ、有用性から栄光へ、〈俗なるもの〉から〈聖なるもの〉へと転倒が生じるという、バタイユ思想の根幹を明らかにする従来にない鮮烈な論考!

目次

序 章 バタイユのエコノミー論
第一章 エコノミー論の生成
1.一九四五年九月二九日付ガリマール宛書簡 2.松毬の眼 3.消費の概念
第二章 エコノミー論の軌跡
1.異質学 2.聖社会学 3.有用なものの限界
第三章 エコノミー論の探究
1.知/非 知 2.可能なもの/不可能なもの 3.限定エコノミー/一般エコノミー
第四章 エコノミー論の展開
1.贈与 2.エロティシズム 3.〈聖なるもの〉 4.至高性
終 章 結論
補 論 エコノミーの概念小史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bartleby

10
贈与の不可能性と、それを乗り越える思考実験としての“至高性”について論じた本。博論を改めたものらしい。ポトラッチに代表されるように贈与は自身の権威を高めると同時に、資本主義的等価交換(ほんとは違うのだけど)により経済が痩せ細るのを防ぐためのリスクヘッジでもある。しかし、この贈与もまた等価交換に回収されてしまう。そこでバタイユが考えたのが「消尽」「死」「供犠」を賭けた至高性による贈与の完成。著者は「消尽する主体の態勢」と書く。思うに、純粋な贈与に近づくための方法は2つある。1つは忘我。もう1つはひたすら…2023/01/09

かんがく

9
浪費、性、暴力、汚穢などマイナスイメージとともに語られがちな概念を改めて捉えなおすバタイユの思想は、今の私にとても刺さる。第三章から時間など概念的な話がテーマになり理解しきれなかったが、以前挑戦して挫折したちくま新書のバタイユ本よりは面白く読めた。2022/03/17

Mealla0v0

5
補論「エコノミー小史」を読んでから本論を読むという順番がオススメ。オイコノミアがエコノミーに変わっていくなかで元々のポテンシャルが縮減されていった…生のエネルギーという問題が経済問題に切り詰められていったというバタイユの問題意識を歴史的に位置づけるために。限定エコノミー=「経済」に対して、一般エコノミー=無限の贈与、生きることの奔流が対置される。バタイユを哲学的に跡付ける論考であり、資本主義を打破するための消尽の意義が理解できる。補論はアガンベン『王国と栄光』を理解する手助けにもなる。2021/11/03

不純文學交遊録

2
エコノミー(経済学)は端的に言えばお金に関する学問だが、そもそも人はなぜ金(マネー&ゴールド)に魅了されるのだろうか…根源的な問いに私は関心がある。人類の経済活動はエコロジー(生態学)とも不可分だ。エコノミーにエコロジーの視点をもった思想家がジョルジュ・バタイユである。経済活動の源は過剰な太陽エネルギーであり、人類は生存に必要以上の物資を生産する。余剰はいつか蕩尽せねばならない。その究極は戦争だが、破滅を回避するために贈与の可能性を示す。人新世の道標は、マルクスではなくバタイユかもしれない。2021/12/29

Go Extreme

2
バタイユのエコノミー論 エコノミー論の生成: 一九四五年九月二九日付ガリマール宛書簡 松毬の眼 消費の概念 エコノミー論の軌跡: 異質学 聖社会学 有用なものの限界 エコノミー論の探究: 知/非 知 可能なもの/不可能なもの 限定エコノミー/一般エコノミー エコノミー論の展開: 贈与 エロティシズム 〈聖なるもの〉 至高性 バタイユの贈与論 エコノミー概念小史2021/11/05

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