筑摩選書<br> 消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神

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筑摩選書
消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神

  • 著者名:橋本努【著】
  • 価格 ¥1,815(本体¥1,650)
  • 筑摩書房(2021/10発売)
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  • ISBN:9784480017314

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内容説明

いくらモノを買っても幸福感は訪れず、世界各地で経済格差が広がり、環境危機が深刻化する――。資本主義社会が直面するこれらの問題を乗り越えるには何が必要か? 身の回りのモノを捨て、最小限のモノで暮らすミニマリズムには、資本主義の支配力に抗して新たな文化を生み出す「脱資本主義の精神」に通じる回路があるという。今も圧倒的な支配力をもつ資本主義の「魔法」から抜け出すべく、「消費ミニマリズム」を多角的に検証し、その可能性を論じた画期的な思想書である。

目次

はじめに
第1章 消費ミニマリズムの流行とその背景
1‐1 消費ミニマリズムの時代
1‐2 主要な背景的要因
1‐3 背景にある社会変容
1‐4 考察
第2章 消費社会とその批判
2‐1 ロスト近代がやってきた
2‐2 ポスト近代社会は批判されてきた
2‐3 富を獲得することのバカバカしさ
2‐4 消費社会に代わる理想とは
第3章 正統と逸脱の脱消費論
3‐1 文化から仕事へ
3‐2 心理学と文化人類学の視点
3‐3 逸脱と新たな正統①──精神・自然・環境
3‐4 逸脱と新たな正統②──価値の創出・土着の発見
3‐5 逸脱と新たな正統③──幸福、快楽、上位文化
3‐6 複雑な問いをシンプルにする
第4章 ミニマリズムの類型分析
4‐1 ミニマリストの台頭
4‐2 ミニマリストの位置
第5章 ミニマリズムの倫理
5‐1 幸福になるための実験
5‐2 保守回帰
〔コラム〕文豪たちのミニマリズム
5‐3 脱資本主義的な自己実現
5‐4 自己との和解
第6章 ミニマリズムと禅
6‐1 欲望の愚かさについて
6‐2 禅に向けて
6‐3 禅の思想
第7章 資本主義の超克
7‐1 オルタナティブなき批判
7‐2 代替システム
7‐3 電脳コンピユータ技術の可能性
7‐4 精神の拠点
あとがき

参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

92
ミニマリストの行動が現在の消費社会に与える影響とそれが資本主義脱却の精神といかに結びついていくのかを様々な実例とともに紹介してくれる良著です。私はこの著者の橋本さんの作品はいくつか読んできているのですが、この本が一番私の考え方に受け入れられる気がしました。マックス・ウェーヴァ―についても書かれていますがどちらかというと西欧の資本主義について書かれていますが、この本は現在の日本にはかなり当てはまる気がしました。2024/01/23

小鈴

29
網羅的だが隔靴掻痒。プロ倫をもじったタイトルからわかるように、ミニマリズムの行動が「脱」資本主義の精神を生み出すのではないか、新しい社会への萌芽なのではないかというワクワクするようなタイトルなんですけれど、結論はもの足りません。見田宗介イストとしては、資本主義と密接に関係する「近代」時間意識の相対化、脱却化が「新しい社会」のキモだと思うんですよね。そこは触れず、脱却化しようとするあらゆる試みのリストのような本でした。でも、これらの運動を「ミニマリスト」という概念でくくる点は興味深かったです。 2021/07/14

羊山羊

25
今の意識高い子の論理構造を読むヒントになりそうな1冊だ。とりあえず読む前に第7章「資本主義の超克」という章があるのでそこを読もう。セルジュ・ラトゥーシュ氏の言葉を引き、穏やかな脱成長の為の好循環として10の提言をしている。それなりに過激だけど「人新世の資本論」より洗練されている。ここで本著の感覚を掴むべし。本著に通底するのが競争的な他者との対立の否定だ。他者との関係を贈与し合う関係か、肯定し合う関係しか認めていない。人間関係を断って仙人になれと言わんばかりの競争否定である。2023/06/10

まゆまゆ

18
ミニマリズムは自分で自分の生活を律する倫理であり、精神を養う要素がある。これが脱資本主義に通じる回路になりうるのではないか、として社会的背景を考察していく内容。物の豊かさより心の豊かさを優先する人の割合が増えていった90年代では、逆に家庭において保有するモノは増えていった。そういった大衆消費社会のアンチテーゼからモノを持たないミニマリズムが流行した背景には、スマホの登場と購入の際にあらかじめ吟味するスタイルの変化があるようだ。2021/08/05

baboocon

17
今世紀に入って勃興してきた消費をあえて最小限にする消費ミニマリズムの潮流を、かつてのヒッピー文化としてのミニマリズムとの対比や、ミニマリストやそれに近い価値観の人々による書籍を挙げながら脱資本主義と絡めてひもといている。日本での「ミニマリスト」ブームの火付け役となった佐々木典士は元より、「人生がときめく片づけの魔法」のこんまりこと近藤麻理恵や、「電気代500円。贅沢な毎日」のアズマカナコ、「必要十分生活」のたっくなども押さえているのは好感度が高い。論調自体はやや退屈ではあったけれど…。2022/07/27

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