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内容説明
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明治時代の東京の下町を舞台に、病弱で人見知りで臆病な少年の、成長の日々を描いた、半自伝的作品。ふりがなを多くふり、語注を豊富に掲載して小中学生に読みやすくしています。<解説:昭和女子大学名誉教授・児童文学者 西本鶏介>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かずー
74
作者の自伝的小説で少年時代を描いた作品。全体的に大きなエピソードがないが当時の情景が丁寧に描かれている。思わず自分の子供時代を思い出さずにはいられない。生まれつき体が弱く一緒に住んでいた伯母からの愛情が伝わってくる。子供ならではの学校での上下関係、女の子と遊んでいるとからかわれるといったことに苦悩しながら成長していく。2020/06/30
(-"-)
12
書かれたのが明治なのに子供の頃はこうだったなと思い出した。大人の言う良い子に疑問を抱いたり、クラスの勉強に追いつけなかったり、無条件で幸せだったり。 「私は常にかような子供らしい驚嘆をもって自分の周囲を眺めたいと思う。人々は多くのことを見慣れるにつけただそれが見慣れたことであるというばかりに見過ごしてしまう。おもえば年ごとの春に萌えだす木の芽は年ごとに新たに我らを驚かす。」(本文)2016/11/24
Ai
4
甘ったれのわがまま坊主が、伯母さんの肩越しに少しずつ世界を広げていく様が微笑ましい。季節の移ろいや去りゆく友の描写は、ずっととっておきなくなるような美しい文章だった。2018/04/17
高知
4
小学生向けのシリーズに入れられたのを知り再読。やはりすごい作品。美しい文章。中高生にはぜひ。中高年にもぜひ。児童文学のようで児童文学ではない。子どもの頃に感じていたけど言葉にはできなかった情景を表現し作品に昇華したのだと思う。関わる女子、女性たちに対する感情表現がいいなあ。2016/04/04
菱沼
3
淡々と日常を書いているだけの文章なのに、その日常を素晴らしい感受性のまなざしでとらえているために「文学」となっているように思った。おそらくこの少年は、幼いころには「甘えん坊」、十をすぎたら「生意気」と言われていたのだろう。おそらく彼の感受性についていける大人たちがいなかったために。少年に対する伯母さんの無償の愛が胸を打つ。それだけに、青年の入り口にさしかかった彼との再会がせつない。坊ちゃんと清を思い出した。2016/09/02