中公選書<br> 日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030

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中公選書
日本の私立大学はなぜ生き残るのか 人口減少社会と同族経営:1992-2030

  • ISBN:9784121101204

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内容説明

2010年代半ば、日本では、大学の「2018年問題」がさまざまに議論されていた。18歳人口の減少によって、日本の弱小私立大学は次々と経営破綻すると予想されたのだ。しかし、日本の私立大学の数は逆に増えている。なぜなのか。

 著者たちは人類学者ならではのフィールドワークとデータの分析によってその謎に迫っていく。導き出されたのは、日本独自の「同族経営」の実態であり、それは私立大学のみならず、日本社会の本質をも炙り出している。他に例をみない私立大学論であり、卓抜な日本社会論ともなっている。

 オクスフォード大学教授・苅谷剛彦氏による解説を付す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mits

1
まず、こういうことを海外の研究者が研究しているという事実に戦慄。大変面白い本ではあったのだけど、結論としては日本に長寿企業が多い理由とどうやら同じであるらしい。言われてみれば自然な話ではある。2022/10/27

転天堂

1
海外の2人の社会人類学の研究者による、日本の私立大学とそれを経営する法人についての研究成果。たしかにゼロ年代には少子化で日本の私立大学の3割くらいは向こう何年かのうちに消滅し、業界も大きく変動すると言われたが、そうならなかった。その予測がはすれた原因となる、日本の私立大学経営におけるレジリエンスとその源泉について、日本の行政資料も追いながら考察している。ゼネコンや銀行とどう違ったのか、考えていくと興味深い。また昨年不祥事が明るみになった某巨大私大がこの後どのようなレジリエンスを見せるのか、注目してみたい。2022/09/11

nobuharuobinata

1
「2018年問題」、18歳人口減少を受けて、多くの私立大学が潰れるだろうといわれた問題。なぜそれが起きなかったのかを解き明かした本。本書は、その理由を多くの大学が「同族経営大学」であることに見出している。同族経営であることが生き残りのためのレジリエンス(強靭さ・粘り強さ)を発揮する土壌になっているというのであるというのである。 教授会についての分析「原則論から一歩も出ずに、議論百出、現実的妥協は最も忌むべきものとして、議論のための議論を続ける。これが学問の自由〔と信じられてきた〕」ズバリ!2022/08/14

ひょっと

0
謎を設定して、多面的に解明を進める。これまで発表された多くの統計、論文、メデイア記事等に、独自の調査を交え、多彩な論旨を展開する。 第3章、4章では、名称だけ架空のメイケイ学院大学をケーススタディとして、同校についてわれわれが知っていること、まったく知らなかったことを語り、同族経営の特徴を描き出している。 そうした議論のうえの「謎解き」は、納得感が高かった。 専門書であるが、読み始めたらやめられなくなるという意味で良質な一般書でもある。著者をよく知る訳者、解説者の説明も的確で貴重。2022/02/06

Nobfunky

0
少子化危機と呼ばれた2000年代に殆どの私立大学が生き延びた理由は、同族経営の良好なガバナンスと改革と少子化を補う進学率の向上。まだ伸び代はある。2021/10/28

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