ノーベル文学賞が消えた日 - スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い

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ノーベル文学賞が消えた日 - スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い

  • ISBN:9784582824926

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内容説明

2018年、ノーベル文学賞発表中止。裏に隠された性的暴行、性差別、スウェーデン・アカデミーの権力闘争の一部始終をあぶり出す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

R

38
#MeTooから一連といえるかもしれない女性運動の内実を記した本でした。ノーベル文学賞を決めるような素晴らしい文学サロンに蔓延っていた性的搾取の実態と、それに声をあげることの難しさ、その当事者たちの葛藤、セクハラ問題を取り上げるときの世間の好奇の目と、どこに問題があったかという論点のズレが当たり前にのさばるという難しさが伝わってきた。アルノーという男の好色ぶりと、その妻の傲岸とも思える在り方も目を引く内容で、下世話なゴシップのような事件でもあると思った。2022/03/03

松本直哉

26
光輝ある伝統と威信、数々の特権とそれを私物化する人々、うかがい知れない秘密主義。ノーベル文学賞を選考するスウェーデンのアカデミーはIOCによく似ている。IOCの欺瞞性は広く知られるようになったが、ノーベル賞もまた、著者の告発をきっかけにその恥部をさらけ出し、委員の間に亀裂を生じて選考中止の事態に至った。男女平等の進んだイメージのあるスウェーデンでもこのようなセクハラがはびこっていたことに驚く。レイプ魔が有罪判決を受けてひとまず終結したが、構造的な男性支配が変らない限りこの賞は今後も茶番であり続けるのだろう2021/11/08

ochatomo

20
アメリカで始まった#MeToo運動が、スウェーデンの文化界における長年のセクハラ告訴へつなかる新聞記者による記録ノンフィクション 最終的に有罪判決が下されるがそれまでの経緯が苦しくて読んでは止まるの連続だった 2017年カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞に選出された記者会見の場でも質問に出されていたのに全く知らなかったし、2019年オルガ・トカルチュク氏が遡って2018年受賞者となっているので隠されているという印象はぬぐえない それだけこの本の価値は高いと思う 元本2019年 2021刊2022/04/03

19
ノーベル文学賞の選考機関を揺るがす、一本の記事。その告発には、スウェーデンの芸術家たちを魅了する地下サロン、"フォーラム"が関係していた▼とにかくスウェーデン・アカデミーのモラルは崩壊状態。フロステンソンのミステリアスな性格や、アルノーの「成り上がり」は興味をそそるけど、枝葉だ。つまり、善悪を真贋の判断と混ぜたらアウト。でも、後者が頭から離れない。文化や文学、またそれらを創る人の価値は、どう測ればフェアなのか?▼日本では、村上春樹さんが受賞するか論じるより、よほど重大な問題が知られずにいる…2021/10/18

15
【文化の世界は鋭敏なエゴに満ちており、パラノイアに最適な場所だ。(P.150)】多くの本読みにも衝撃(と違和感)を与えた、ある事件。それは、スウェーデンで黙認されてきた罪を暴く、記者と被害者たちの決意がきっかけだった。2023/10/14

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